学生時代の様々なツケが祟り、「デブ」で「ハゲ」と言う不遇要素が折り重なる人生を歩んできてしまった男。そんな彼は、とある事故で命を落としたことを転機に女神から夢にまで見た「異世界転生」をする事になりました。勿論選択肢は、今までの散々な人生にきっぱりと別れを告げ、もう一度新たな世界で最初から人生を進めるのみ――勿論それまでの記憶も込みで。
こうして、やがて来るであろう英雄としての日々を夢見ながら、彼の新たな日々が始まったのですが……。
どこまでも皮肉と風刺、それでいてしっかりとした教訓に満ちた文字通り痛烈な作品。
確かに力もあるし頭脳も明晰だし、おまけに美形に成長することが約束されたような彼ですが、たった1つ、大事なことが欠けていたが故、このような事態を招く結果になったのかもしれません。その事態を察したのが『今』の彼を最もよく知る存在であったのもまた皮肉に感じました。
敢えて描写されていないであろう彼の顛末。
果たして、女神さまの求める、彼のような道を辿らない人材はいるのかどうか……いろいろと身につまされます……。