第23話お母さん! 異世界に水洗トイレを作る!⑥

「おはよう... ...」


「やあ。おはよう。魔法少女よ」



 翌朝、記憶を完全になくした魔法少女が部屋から出てきた。

 気絶したショックで都合の良いように前の日の嫌な記憶だけがまるっと消されたのであろう。

 ご都合主義万歳である。


 俺は何食わぬ顔で新しい水洗トイレ計画を図を用いて説明。


「えー。とりあえず、この城の屋上に水を溜めておくタンクを作ります。そして、便所にその溜めた水が行くようにして俺たちがうんこや小便をしたら小川に流れていくように水路を作ります」


 少し、先生になった気分がして優越感。


「ゴーレムは屋上に石で水が溜められそうなタンクを作ってくれ」


「わかったみそ!」


「魔法婆と魔法少女は小川に続く水路を作ってくれ」


「あいよ」

「何であたしがそんな事しなきゃいけないのよ!」


 自身のトラウマは掻き消されたようだが、心の根底には悪夢の根っ子があるのか、魔法少女は当然のように拒む。


「でもさ、水洗トイレ欲しいだろ?」


「あったら良いけど... ...」


「また、ケツにキスされたら嫌だろ?」


「ケツにキス?」


「ちょっ! ミーレこっち来な!」


 魔法婆が慌てて、魔法少女をこの場から退ける。

 またあのようにヒステリックを起こされたら困るからなのか、姉としての責任感からなのか。

 真意は定かではないが、悪ふざけが過ぎた俺に向ける視線に殺意を感じる。

 まあ、婆さんだから怖くないけどね!

 そして、俺は現場を監督するのであった。



 ______ゴーレムの城 屋上______



 何段もある階段を昇った先にはバスケットコート程の大きさの屋上がある。

 そこではゴーレムに水を貯めておくタンクを作る作業をお願いしているのだが... ...。


「これはでかすぎだろ! こんなプールみたいな状態にしたら雨漏りするだろ!」


 俺は確かに水を貯めるタンクを作れとだけ言った。

 が、目の前には25mプールかと思う程に大きな堀があり、堀の中で何やらコンクリートのようなものを手から出しているゴーレム。


「大丈夫みそ! 石をドロドロに溶かして隙間をなくしたみそ!」


「... ...本当に大丈夫か?」


 確かに水が漏るような箇所は見受けられない。

 まるで、セメントを流したみたいに綺麗でかつムラもない。

 一流の職人技術を発揮するゴーレム。

 まあ、これなら問題ないか。


「OK! これで大丈夫そうだ! 2時間は作業してるんだからお茶にしろよー」


「わかったみそ! この作業が終わったら休憩するみそ!」


 俺は飲み物と森で取ってきた果物を置いて屋上を出た。

 さて、次に行くのは魔法少女と婆の担当現場だ。

 あいつらがちゃんと出来ているか考えると気が重い。

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