嘘つきな狐

ゆーきさん

第一話 僕

遠いところであの人の声がする……


「なぁ、阿無。」

「はい、なんでしょう?」


阿無の声が聞こえると

なんだか落ち着いてくる。


「やっぱなんもないや。」

「……そーゆーのうざいからやめて下さい」


僕は湊 壮一郎。

一言でいうと妖狐だ。

人間界に興味を持って、人間に化けて

とある公立中学校に入学した。


後ろで僕の後をつけている少女は阿無。

阿無は、母様が世話役にと

派遣された猫又だ。


中学校に入学して3年目の春。

まだ誰にも僕の正体は知られていない。

だって誰にも言ってないから…。


卒業したら僕は山に戻らなければいけない。

卒業までにバレないようにしなければ…。



僕の人間界での生活は、

もうすぐ終わる。




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