総選挙!

8月半ばの土曜日、これからお盆休みという季節だった。夏の甲子園も開幕し、連日熱戦を繰り広げている。そしてその日、ツバキガールズの第1回選抜総選挙が行われた。この総選挙は7月末までファンクラブ会員やWeb会員が1人1票で投票し、総選挙の上位15名が選抜メンバーに選ばれ、1位のメンバーは9月発売予定の7枚目シングルでセンターとを務める。そして16位から30位のメンバーはアンダーガールズとして、31位から40位のメンバーはネクストガールズとして、41位から50位のメンバーはフューチャーガールズとして、それぞれカップリング曲を担当する。現在いるツバキガールズのメンバーは50人。果たして誰が1位になるのか。




この日の部活は昨日横浜で練習試合があり、そして明日は埼玉で練習試合があるため休みだった。俺・優衣姉・優里の3人は家から1時間以上かかって、千葉県内のイベント会場に向かった。3人はまず関係者入口に入り、両親とメンバーに挨拶をした。麻衣さんからは、


「優、久しぶりやね~絶対てっぺん取るからな~」


と言われ、沙織さんからは、


「優くん、センターは私が取るからね!」


と言われた。




そして俺は関係者席に移動し、午後3時、総選挙イベントはスタートした。この総選挙はインターネットで生中継され、後日「週刊ツバキガールズ」で3時間のダイジェスト特番が放送される。まずはライブからスタートした。ライブでは、1期生・2期生・3期生がそれぞれ歌を披露した。もうこの時点から歓声が凄い。地鳴りのようだ。そして午後4時、ついにツバキガールズの総選挙の最終結果が発表された。


まずはフューチャーガールズ。全員3期生だった。デビューから4ヶ月で知名度が足りなかったか。続いてネクストガールズ。こちらも3期生がほとんど。しかし2期生2人がネクスト止まりだった。そしてアンダーガールズ。ここになると2期生が中心となる。残った2人の3期生は全員ここで発表され、1期生は美琴さん・紫帆さん・智花さんがアンダー止まりだった。そして選抜メンバー15人の発表が始まる。1期生12人と2期生3人、誰がセンターになるのか。4位まで一気に発表する。


15位 柿沢芽亜

14位 長嶋綾音

13位 瀬尾真綾

12位 五十嵐千早

11位 佐々木奈々

10位 山内明日香

9位 秋山夏織

8位 竹下若葉

7位 飯塚紗奈

6位 西森綾

5位 尾崎沙羅

4位 安達玲香


安達は4位に終わり、「センターを取れなくて悔しいです・・・」と言っていた。本気で狙っていたらしい。


そして3位には松永がランクイン。安達との差はわずか5票だった。松永も、「本気でセンターを狙っていたので、悔しくて、悔しくてたまりません・・・」と言っていた。


あとは1位と2位。まだランクインしていないメンバーは麻衣さんと沙織さんしかいない。2位が発表された時点でセンターが決まる。




2位は沙織さんだった。松永との差は15票。沙織さんはステージに上がり、


「ファンの皆さんへ。センターを取れなかったのは悔しいですが、2位にしてくれてありがとうございます!もし来年も総選挙があるのなら、絶対に1位になります!」


と涙を流しながら言った。


そして1位は麻衣さん。沙織さんとの差はわずか3票差だった。麻衣さんはステージに上がり、


「ファンの皆様。私を1位にしてくれてほんまにありがとうございました!私は本気でセンターになるつもりでした。最後に一言言わせてください・・・てっぺん取ったで!」


と麻衣さんも涙を流しながら言った。そして選抜メンバー15人が一斉にステージに上がる。麻衣さんがセンターで両隣には松永と沙織さんがいる。




そんな感じでライブの時間を含めると約4時間。ツバキガールズの選抜総選挙は終了した。帰りの電車で俺は麻衣さんに、「総選挙1位おめでとうございます!」というLINEを送った。すると麻衣さんは、「ありがとう!今日は人生で一番忘れられへん日や!」という返事があった。そして沙織さんから、「優、1位になれなくてゴメンね・・・」というLINEが届いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る