都大会!(2年生編)

7月に入り、夏の甲子園の東東京予選が始まる。俺はこの1年、1番ショートの定位置を掴み、春以降は投手を兼ねることもあった。そして雑誌でも俺の名前が取り上げられていた。あるメンバーからも、高校野球の雑誌を見たら優くんの名前があってビックリしたと言われた。そして、登録メンバーは以下の通りである。




青教学院高等部


部長 茅野正雄かやのまさお

副部長岩崎修一いわさきしゅういち岡部春佳おかべはるか

監督 日笠直人ひかさなおと


1 投 大久保雄一おおくぼゆういち 右右 3年

2 捕 大西政人おおにしまさと 右右 3年

3 一 矢作武昭やはぎたけあき 右左 3年

4 二 小澤敏明おざわとしあき 右左 3年

5 三 青木修あおきしゅう 右右 2年

6 遊 相川優あいかわゆう 右右 2年

7 左 森山隆士もりやまたかし 右右 3年

8 中 大橋雄人おおはしゆうと 左左 3年

主将

9 右 竹中信也たけなかしんや 左左 3年

10 投 田中雄太郎たなかゆうたろう 右右 3年

11 投 佐藤進次郎さとうしんじろう 左左 3年

12 捕 長谷川正春はせがわまさはる 右右 3年

13 捕 山内悟やまうちさとる 右右 2年

14 内 西貴仁にしたかひと 右左 2年

15 内 高山亮太たかやまりょうた 右左 3年

16 内 岩崎秀也いわさきしゅうや 右右 3年

17 外 渡辺輝之わたなべてるゆき 左左 3年

18 投 田所正俊たどころまさとし 左左 2年

19 投 北川大輔きたがわだいすけ 右右 2年

20 投 中山稔彦なかやまなるひこ 右右 2年


記録員 高橋未央たかはしみお(3年)・大島千歌おおしまちか(3年)




そして1回戦当日の日を迎えた。初戦の相手は合同チームでなおかつ登録メンバーが10人しかいない高校だった。試合は25-0の5回コールドで勝利した。俺は先発を務め、4回からは中山が登板。そして俺は打っても全打席出塁し、満塁本塁打2発を放つ暴れっぷりだった。


2回戦、俺は1番ショートでスタメン出場。試合は7-0で7回コールド勝ち。3回戦進出を果たした。この試合で俺は3打点をマーク。投手陣は田所が5回、北川が2回を投げる完封リレーだった。


3回戦、試合は5-2で勝利し、2年連続で4回戦進出を果たした。俺は5打数3安打。先制点となった初回先頭打者ホームランも放った。投手陣は田中さんが5回、佐藤さんが4回を投げ相手の反撃をかわした。


そして4回戦、ついにシード校と対決。相手は甲子園にも出場したことのある強豪だった。相手校のエースはプロ注目の好投手で3回戦では完全試合(スコアは5-0)を達成していた。しかし、この日の先発は背番号18の2年生投手。試合は1回表にその2年生投手から早速先制するが、大久保さんが踏ん張れずすぐ逆転される展開だった。そして打線はこの後沈黙し、大久保さんも5回4失点で降板した。6回からは俺がマウンドに上がり、1死3塁のピンチを作ったが、最終的には無失点に抑えた。


そして1-4、3点を追う展開で7回表に突入した。相手側はこの回から先発だった2年生投手に代わって、背番号10の3年生投手が登板。この回青教学院は1点を返し2点差とする。俺はその裏と8回も無失点で抑え、2点を追う展開で9回表の攻撃を迎えた。打順は5番の矢作さんから。しかし、矢作さんと6番の森山さんが倒れ2アウト。しかし7番の竹中さんが2ベースを放つと、8番の途中から俺に代わってショートの守備に入った岩崎さんが四球を選び、そして9番の青木に代わって代打の高山さんもレフト線にタイムリーを放ち1点差となり、なおも2死1塁3塁。そして俺に打順が廻ってきた。ここで高山さんが盗塁を試みた。相手捕手も投げられず盗塁成功。そして、俺は積極的に打ちに行くが、タイミングが合わずファールばかり打つ。そしてフルカウントとなった10球目。




相手投手が投げた球は明らかに失投だった。打球は左中間席に飛び込む逆転3ラン。これで6-4。あとは俺が抑えるだけだ。


そしてその裏、俺は1死2塁3塁、一打同点のピンチを作った。そこで俺は降板し再びショートの守備につく。代わった投手は田中さん。そして打った打球は難しい当たりのショートゴロ。俺は何とか捕り、すかさず本塁に送球。しかし間に合わず1点を返された。なおも1死1塁3塁。そして直後に盗塁を決められ1死2塁3塁。一打逆転サヨナラのピンチとなってしまった。結局四球となり1死満塁。絶体絶命のピンチには代わりがない。


しかし次の打者を投ゴロ本塁併殺に仕留め試合終了。青教学院はシード校撃破という金星を挙げ、15年ぶりにベスト16進出を果たした。




試合後、メンバーから「優くんすごいじゃん!」というLINEが送られていた。どうやらこの試合、沙織さんと奈緒さんが観戦していたようだ。2人からも「あのホームラン、完璧な当たりだったね!」という内容のLINEが届いていた。


そして5回戦も甲子園出場経験のある強豪校との対戦であったが、3-2でサヨナラ勝ちし、ベスト8進出。これで過去の最高成績に並んだ。俺は4打数2安打で、8回には同点となるホームランを放った。投げては佐藤さんから田中さんへの継投が的中した。


この試合も麻衣さん・沙織さん・奈緒さん・由美さん・梨沙さんが観戦していた。前の試合では気がつかなかったけど、この試合ではグラウンドからもちゃんと確認できた。


試合後、これからバスに乗ろうとしていたら、5人に声をかけられ、「優くん、8回のホームラン、完璧なあたりじゃん!」と沙織さんに言われた。そして帰りのバスが出発すると森山さんから、「さっきお前に声かけた5人、ツバキガールズじゃねぇか!お前どこで知り合ったんだよ!」と言われた。俺は「元からの知り合いなんで・・・」とだけ言った。




そして準々決勝。相手は東東京大会の優勝候補だった。試合は0-10の5回コールド負け。相手チームの先発は背番号11の2年生であったが、打線は完封され、俺もノーヒットに抑えられた。投手陣は大久保さんが7失点と打ち込まれ、4回からは田所が登板したが3失点を許した。


この試合も麻衣さん・沙織さん・奈緒さん・千早さん・明日香さんが観戦していた。グラウンドからもちゃんと確認できた。試合後の記念撮影が終わった時、5人から声をかけられた。


「優くん、そして青教学院野球部の皆さんお疲れ様でしたー!」


5人は俺、そして部員にそう声をかける。するとある部員から、


「なんでツバキガールズがここにいるんだ・・・しかも5回戦も来てたよな・・・」


という声が聞こえた。そして、


「今日の試合、残念やったなぁ」


と麻衣さんは言う。そして沙織さんも、


「まぁ、優くんは来年もあるしそこで頑張ればいいじゃん」


と言って、俺をなだめてくれた。奈緒さんからは、


「今日までは私たちが優くんを応援してたけど、明日からは優くんが私たちを応援する番だよ!」


と言われた。千早さんからは、


「ひたむきに野球をやってる優くん、かっこよかったな・・・」


と言われ、明日香さんからは、


「今度は優くんが私たちを応援する番だね。もちろん私に票入れたよね?」


と言われた。そして帰りのバスで青木から、「試合後の記念撮影で俺たちに声かけた5人、ツバキガールズじゃねぇか!しかもお前と知り合いみたいだし、お前何物なんだ?つーか前の試合も来てたじゃねーか!」と言われた。


よく考えたら4回戦からずっと人気アイドルが応援に来ているうちの学校もなんか異様だな。今日の試合、そして前の試合や4回戦でもツバキガールズの目撃情報があった。今日の試合に至ってはTwitterに、「今日の神宮球場、青教のスタンドにツバキガールズがいる。5人くらいるけど、このメンバーは野球が好きなのかな?」という内容の書き込みがあったくらいだし。




この大会中、ツバキガールズは6枚目のシングルが発売された。この新曲は明らかに夏の歌、高校野球を意識した歌だった。そして、デビューから6作連続で発売初日で100万枚以上が出荷された。




そして8月、俺は新チームの野球部のキャプテンに任命され、ツバキガールズも総選挙の日を迎えた。

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