7.ジョン・スミス
「お~いるいる。セキヤンに田中っち」
「あ、悠歩先輩!」
練習の休憩時間。特別教室隣の用具室にたまたまいたタイミングで、廊下から声がかけられた。
振り向けば制服姿の男子生徒――悠歩先輩と、鳥居先輩。
「よ、元気でやってるか?」
「……はい! 二ヵ月分の遅れに追いつくのは大変ですけど」
「はは、大丈夫大丈夫。大した差じゃないって」
「お、これが噂の?」
隣の鳥居先輩が俺を指して、悠歩先輩に尋ねる。
「そ、期待の新人」
「あー! 先輩だーっ!」
気づいた一年生、さらには二年生たちまでが無邪気に、特別教室からも顔を出して、先輩、先輩と駆け寄る。
「どうしたんですか!」
「なんでここにいるんですか⁉」
「受験勉強ってどうですか?」
「たまには顔出してくださいよ~」
次々と飛び交う言葉に、笑いながら返事をしていく先輩たち。
「先輩、よかったら少しだけ練習見てもらえませんか⁉」
小林が言った。
「え⁉ それってアリなの⁉」
安藤が声を上げる。
「あー……んー、俺はいいけど……スワベくーん! 俺ら練習入っていいかなー?」
「む⁉ 悠歩先輩に晃先輩! どうなさいましたか」
「やー、ちょっと部室に置きっぱだったもん取り来たついでにさ。練習見てほしいっていうんだけど、ちょっとだけ助言あげてもいいかしら」
「上達を第一に考えればそれは妥当ですが……ネタバレしてしまうと面白くないのでは?」
「や、そんなこたねーよ。大丈夫、ウザOBになるつもりはないからさ」
「……なるほどねぇ」
広場のベンチで悠歩先輩とふたり。
引退してから塾に通い始めたという先輩。その塾が中央公園の近くにあったため、部活終わりに時間を合わせてもらい、相談に付き合ってもらう。
二人の先輩が見に来てくれた日の練習後、俺は思わず悠歩先輩に連絡を入れた。上手くいかない練習や、部員同士のいざこざの話を、聞いてほしかった。助言をもらいたかった。
先日の悠歩先輩たちの指導は、簡潔で、的確で、実に正鵠を射ていた。さすがだ、という言葉が自然と浮かんだ。先輩たちがいるだけで、普段のどこか締まらない空気はぴりっと引き締まり、ぐっと集中して練習を進めることができた。上達というものがしっかり実感できる、適切なアドバイスで、向かう方向を示してくれた。
「芝居を作っていく上で、そういうぶつかり合いはあって不思議じゃないと思うけど……にしても田中っちと高橋かぁ。なるほど、なんか分かる気がするな」
七月。淡く移ろう宵の刻。公園の広場にはまばらな人影。夏の空気を感じる。
「……実際、技量、というかセンスみたいなものは、高橋の方があると思います。彼に従えばおそらく一応の形には作り上げることができるはずなのに……後から入ってきた田中真由子がそれを掻き回しているというか」
部活に対して思っていることを、率直に話す。
「でも正直、問題があるのは彼女一人ってわけでは決してなくて、――なんというか、ひとつになりきれていない、同じ方向を向けていない、そういう風に感じるんです」
「はは、随分と早い段階から悩むねぇ、少年。そんな風にちょっと俯瞰して全体を見ることができるのは、セキヤンのいいところなんだろうな」
「……ありがとうございます」
「なるほどね、同じ方向を向く、か。難しい話だな」
「……あいつが悪いんです。田中真由子。自分はできる側の人間だって思い込んで、そういう勘違いの全能感を客観視できなくて、みんなに迷惑をかけているんです」
陽も落ちて、街灯の明かりはベンチを照らす。足元に、二人分の影が落ちる。
「高橋もあれはあれで傲慢というかワンマンというか、高圧的なところがあるし、熊谷や池田はあまり意見を言わなくて、安藤や小林はすぐに気を緩めてふざけ出すし……市川さんも優しいから、そんな皆に強くは言わないし……」
ふと、半ば愚痴のようになっていると気づく。決して皆を批難したいわけじゃない。けれど、こんな風に口に出てしまうということは、それは確かな不満なのだろう。
俺自身も、自分では気づいてない悪い部分があって、こんな風に誰かに思われたりしているのだろうか。
「うーん、そうかぁ、そういう感じなのかぁ」
悠歩先輩は軽く唸って、ベンチの背もたれに背中を預ける。
「でもさ、一年生のみんなもそれぞれいいところがちゃんとあって、悪いやつらじゃないと思うよ。伸びしろも感じるし、ちゃんと乗り越えられるって、信じてるんだけどな」
先輩は、素朴に、いつも変わらない調子で言う。
「例えば池田ちゃんさ、彼女、恥ずかしがりな自分を変えたくて演劇部入ったんだって。自分は演技とか上手くできないと思うけど~って、合宿の時そう教えてくれた。それってさぁ、尊いと思わね? 自分を変えるために思い切って何かを始めるってさ」
「……そう、だったんですか」
思いがけず、知り得もしなかったことを知る。脳裏に浮かぶ池田さんの顔。
自分の知らないところで、誰かが努力をしている。その一歩を踏み出している。
気づき得ないところに、それぞれの決意が、想いが、目的が、目標が、物語が、ある。
「市川ちゃんはまとめ役の素質があるな。しょうがないな~なんて言いながら、その立場である自分をちゃんと認めている。熊谷はああ見えて知識豊富なやつでさ、頭いいし文学の話とか結構盛り上がるんだよな。安藤はうるさいけど素直でいいやつだし、小林が意外と情に厚くて、送別会の時は大声で泣いてたっけ。村松ちゃんは掴みどころないけど、間違いなく才能があるタイプだよな、これからみんな上達していくだろうけど、きっとお前らの代の主力になると思うよ。そんで高橋は――まあちょっと俺と似てるとこあるよな、あの感じ。でも、それ故に、可愛いよね。信頼できる誰かを見つけられると、成長できるだろうね。自分で自分を高められるやつだから、これからどんどん力つけていくんじゃないかと思うよ」
悠歩先輩は、部員たちをよく見ている。たった二ヵ月ほどの関わりしかなかったはずなのに、それぞれの長所を見極めて、きっとその伸ばし方も理解している。
相変わらず、敵わないと思う。
「いろんなやつがいて、それでこそなんだよ、集団っていうのは。最初はいびつでも、だんだんそれが掛け替えのないものになっていく。このメンバーじゃなきゃ有り得ないって、そんな風に思えるようになっていく。ぶつかったりしてもいいし、その全てを認める必要なんてない。人間ってきっと、そんな風にしか関わっていけないから。始めから上手くなんていかないし、毎日少しずつ関わってくうちに、少しずついろんな部分が見えてくるようになる。ちょっとずつ歩み寄って、だからこそ深まるものがある」
先輩の言葉は、やっぱり真摯で、芯があって、間違いなく先輩自身から発されているものだという、力強さがあった。思わず聞き入ってしまう。
「同じ方向を向く、だなんてさ、目標にするようなものじゃないんだよ。ふと気づいた時に、幽かだけど、でも確かにそれを実感できるっていう、そういうものなんだよ」
部員たちの顔が浮かぶ。高橋、安藤、熊谷、市川、村松、小林、池田、
そして、田中真由子。
――もっとみんなのことをよく知りたいと、思う。いい舞台にしたいと、思う。
「演劇部、楽しいだろ?」
つい黙り込んでしまっていたら、先輩は話題を切り替えるようにからりと尋ねてきた。
「――え……あ、はい。それは、思います。芝居はちょっと上手くいってないですけど、先輩も同期もクセがあって面白くて、ワークショップとか楽しいし、みんなで芝居のビデオ見たりとか、唐突に即興芝居始まっちゃったりとか――何より演じることが、すごく楽しくて」
仮入部してからのわずかな時間でも、思い返せる出来事はたくさんある。演劇部のあたたかい空気感。上手く行っていない練習すら、これまでにない経験で、どこか愛しいとも思えたりして、思い切って飛び込んでみたことは、間違いではなかったのだと、確かに思う。
「演じるって、ある種非日常に身を置くってことでさ、自分が舞台に立っている時、二重の意味で非日常を生きているんだと思うんだよな。どこか別の世界、別の物語の住人になって、別の人生を生きることができる。そんな経験、なかなかできることじゃないよ」
ああ――――そうか。
非日常。日常から切り離された体験。
それは、田中真由子が――俺が、求めていたもの。ずっと、願っていたもの。
「自分以外の誰かになって、登場人物との関係性や、出来事に、自分以外の誰かとして、心を動かす、身体を動かす……。最高だよなあ。あんな感覚、他では味わえないよなあ。あー、芝居したくなってきたわ」
「……これからも、芝居とか、続けていく気はあるんですか?」
「そうだね、大学に行っても続けていきたいと思ってるよ。芝居だけじゃなく、物語を描くことそれ自体に、ずっと関わっていきたいと思ってる。だってまだまだ恩返し、しきれてないからな」
悠歩先輩は屈託なく笑う。その瞳は、どこまでも輝いていて――――
「……主人公気質」
「ん?」
「……悠歩先輩は、主人公みたいなタイプだなって、思うんです。輪の中心で、慕われて、愛されて、輝いて、そしてちゃんと、それに見合う人柄を持っていて。憧れます、本当に」
「……なんだぁ、唐突に。褒めても財布に五百円しかないぞ?」
悠歩先輩は笑顔を崩す。突然の言葉に、驚いているような、そんな表情をする。
「それに比べたら、俺なんて本当に、平凡中の平凡で、これまでの人生で、特別な出来事も物語も何もなくて、誰かに自慢できるような思い出なんて、全然なくて……」
思わず、溢れてしまう言葉。
「そりゃあもちろん友達はいました。それなりに楽しくてそれなりに幸せで。でも大してつらい思いもせず、普通に平和で平凡で、心躍るような何かなんて、フィクションの中にしかなくて、物語に憧れて、気付いたら高校生になっていて――後ろの席だった涼宮ハルヒの贋作は、やっぱり贋作でしかなくて……。だけど、先輩と知り合って、ものすごく近い場所に、本当に主人公みたいな人がいて、そこには間違いなく、羨ましいくらいの青春があって……」
「手前の人生の主人公は手前しかいないと思うけど?」
「……いえ、なんというか、その、学校の? 世界の? とか、そういう……」
「はっ、馬鹿言え」
肩をすくめた先輩は、そして何故だか、納得したように、呆れたように一笑した。
「モブだとか脇役だとか、引き立て役だとかおだて役だとか、くだらねぇよ、くだらねぇ。卑屈が過ぎるんだよ。そんなもん全部、最大級の侮蔑で中指突き立ててやる」
ベンチに両足をひっかけ、体育座りのような姿勢になって、悠歩先輩は言った。
「そんな風に憧れてくれるのは嬉しいけどな、あいにく俺も平凡だよ」
「――え?」
「がむしゃらにやった結果なんだよ。掴み得たもの、もれなく全部。それこそ、青春が云々だなんて、引退間近にしてようやく気取って言うようになっただけでさ」
膝に乗っけた両腕を、上向きに広げて、ひらひらと振ってみせる先輩。
「過去だって、今だって、未来だってきっとそうだ。同い年でプロになったスポーツ選手だとか、いっこ上でバリバリ映画に出てるイケメン俳優だとか、十代で作家デビューした小説家だとか、そんな話を聞く度に俺は悔しくて羨ましくて堪らねぇよ。幼い頃から大好きなことをひたむきに続けてきて、あるいは英才教育を受けて、――そして何より才能で、輝かしいステージに駆け上がっていく人たち。これからだってまだまだ目にしていくことだろうし、その度に俺は、どうしようもないコンプレックスではち切れそうになるんだと思う」
「…………」
「無論そんな人たちだって、ただ待っていただけで何かを手に入れたわけじゃない。そんなこと分かってる。血の滲むような、血反吐を吐くような努力をした先で、ようやく何かを掴んでいるんだと思う」
悠歩先輩は、顔を上げ、街灯の周りを舞う羽虫を目で追う。夏の夜。木々の陰で虫の声。
「井の中の蛙、ってやつだよ。世界が見えるようになればなるほど、自分のちっぽけさを、至らなさを痛感させられる。血反吐吐くほどの努力なんてしたことないし、なあなあで諦めたりとか、そのくせ全然足りないって悔しい気持ちになったりだとか、そんなこと数えきれないほどある。まだまだ足りない。もっともっと努力して、すげぇ才能に近づきたい。――俺だって平凡で、特別でありたいと思ってるよ」
――悠歩先輩でも、そんな風に思うことがあるのか、と冷や水を浴びせられたような気持ちになる。
――だけど、それじゃあ、俺の平凡の行き場って。
明かりに群がる羽虫を見上げる。光に向かって、飛ぶ。飛べるのは、俺じゃなくて、
「――セキヤンはさ」
沈んでいく思考を、悠歩先輩の声が引き上げる。
「自分の過去はどうしようもなく平凡だった、って言うけどさ、でも、その平凡に意味や価値がないだなんて、俺はこれっぽっちも思わないよ」
「え……」
「過去は現在と地続きで、それは全部伏線なんだよ。未来のための伏線。――例えば、もしもお前が、お前の人生が、平凡じゃなかったら、お前は『ハルヒ』に惹かれていたか? 田中真由子という少女に、惹かれていたと思うか?」
唐突に耳に飛び込むふたつの言葉。涼宮ハルヒと、田中真由子。
平凡が故に強く憧れる少女と、平凡が故に強く憧れた少女。
「……いいえ」
「それはきっと、自分のことを平凡だと思っていたからこそ、掴み得たものだ。意味のない過去なんて、多分ないよ。全部今のお前に続いている。未来のお前に繋がっていく。だから、自分で卑下するその平凡にも、必ず意味はあるんだよ」
平凡であることに意味がある。その言葉は全身を廻る。説明できない独特の浮遊感が、絡みつく。この気持ちは、一体何だろう。分からない。分からないけれど。
「んでもってさ、自分は特別な存在だ、って思うこともまた、結構ありふれた、平凡なことだと思うんだよな」
その言葉に、浮かぶ顔。初めてのホームルームからずっと見てきた、ひとりの少女の顔。
「誰だって一度は思うはずなんだよ。『自分には何かあるかもしれない』ってさ。それを信じようとすること、実現させようとすること、傍から見てどれだけ滑稽で、泥臭くて、憐れで惨めで醜くて痛々しかったとしても、それはものすごく普通のことで、正しいことで――。それを達観して笑う奴らなんかより、そんな気持ちを原動力にして、もがいているやつの方が美しくて、正しくて、輝いているって、俺は思うよ。果報は地面掘り起こしてでも探し出せ――って、どこかの団長が言ってた通りでさ」
果報は地面掘り起こしてでも探し出せ――。
果報。それは、多分、田中真由子が、俺が、SSS団が求めている――
「……とはいえ事実先輩は、自慢できるような高校生活を送ってきたって、仰っていたじゃないですか。そんな日々のことを『平凡だった』なんて、言いませんよね?」
「あー……うん、そうだな。そうだよな。言わない。絶対に言わないよ。だってそれは、俺と関わってくれた人たちに失礼だからな。そう考えると確かに、それは特別なことだったりするのかもしれない。……けど、もしも誰かに俺の高校生活を、非凡だって、特別だって、そんな風に言ってもらえるならばそれは、きっとそれは才能とかなんとかって話じゃない。強いて言えばそう……ほんの少しの行動力と――共犯者がいたってことなんだよ」
「共犯者……」
その言葉は、どこか心に引っかかる、不思議な響きだった。
「そう、仲間でも味方でもパートナーでもない、共犯者。その関係性を最も相応しく言い表した言葉。青春は、信頼できる共犯者さえいれば多分、誰にだって掴み得るものなんだよ」
仲間とも、味方とも、パートナーとも違う存在――共犯者。
「それさえ見つけることができたなら、後はもう全部こっちのもんだぜ? ハルヒとタメ張れるくらいの青春が、間違いなくそこにはあるんだよ。これは嘘じゃない。俺が胸を張って証明してやることができる。自分一人だけじゃ、きっと何も叶えられない。人間やっぱり、一人じゃ何もできなくて、誰かがいるから、そこに特別はあるんだよ。――なんて、ベタなところに着地しちゃうけど、これは俺の偽りない、素直な気持ちだよ」
こちらに顔を向けて、にっと笑う。何故だか安心する。この人が言うのだから、信じてもいいのだと思う。信じてみたいと、思わされる――。
「ファンタジーがなければドラマはない、ああ、そんなのは否だ。日常の中にだって、物語はたくさん溢れている。あとはそれに気づけるかどうか、きっとそれだけだよ。宇宙人も未来人もいなくたって、この世界は最高に面白いんだ。……まぁそりゃ、宇宙人が外交しかけてきたらもっと楽しいだろうけどさ」
どこか心が軽くなったような気がした。悠歩先輩は決して、「結局どうしたらいいか」という具体的な助言も、解決策も語らない。でも多分そんな〝具体的〟な言葉には、本当に大切なものなんてなくて、こんな風に、先輩自身の経験から発される素朴な心情の吐露にこそ、意味があって大切なものが宿っているのだと思う。
不思議と、力をもらえた気がした。やはりこの人には、敵わない。
「でもさあ、セキヤンにもあると思うよ。特別なところ」
「え?」
唐突な言葉に困惑する。言葉にできてしまうようなもの? そんなもの、俺には、
――ふと、夜の公園で、諏訪部先輩がくれた言葉を思い返す。特別。でも、それって、
「……俺に、特別なところなんて……」
「あるって」
俺の言葉は、力強い言い切りに否定される。思わず先輩の方を向く。
「好きだと思う気持ちただそれだけで、隣にいられるだなんて、素晴らしいことじゃないか」
「…………」
平凡で、不器用で、身勝手で、涼宮ハルヒに憧れる、痛々しい少女。
「だからさ、もしもお前が、彼女に本気で変わってほしいと思うのなら、ちゃんとお前が言ってやらなくちゃダメなんだよ。ああ、そうだ、セキヤンじゃなきゃダメだ。他の誰でもない、お前でなくちゃダメなんだよ」
「……他の誰でもない、俺……が、」
「ああ、そうだ、手前が、だ。本気で好きなんだろ? 彼女のこと。だったら彼女の為にこそ、言ってやれ。その世界を拓いてやれ。プライド高い人間にとっては、認めたくないことってたくさんあるだろうけど、そんな時にはさ、俺は本気でお前のことを想っているんだ、ってことが伝わる、魔法の言葉を言えばいいんだよ」
「魔法の、言葉?」
「ああ、魔法。それは間違いなく魔法さ。どうしようもなく嘘っぽくて、気恥ずかしくて、でもきっとどんな言葉より素直で真摯な、究極最強必殺の魔法。たった一言、それだけで、世界全部塗り変わっちゃうような、とっておきの魔法。――俺だって、何度智佳にやられたか分かんないくらいの」
「え…………それって」
「その胸に訊けば、答えはすぐに返ってくるよ」
そうして、悠歩先輩はずるい笑みで、まるで物語の主人公みたいに、クールに決め台詞。
「任せたぜ、ジョン・スミス」
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