第22話 2月27日。雑想
22話 2月27日。
喉の調子はだいぶ良くなってきた気がする。母から分けてもらった龍角散ダイレクトが効いたかな。
明日は年度末に事業所で毎回開かれる納め会で披露する予定の朗読を音楽の先生に見てもらう日だ。毎週水曜日はその先生に発声や朗読、断続的にピアノを教えてもらっている。
飽くまで音楽の先生なので朗読に関してはプロではないが、人前でスピーチしたり読み聞かせたりするのは得意な人なので素直にアドバイスを聞き入れられる。
だが、それでも今回の朗読は過去、最も難しいとハッキリわかる。故に不安も大きい。
まず、有名な落語の噺をやろう、と決めた時から「身振り手振りや首の動きを入れた方が面白いだろうな……」と思ったので、台本を作りはしたが全て暗記してソラで台詞を全て言えるようにならねば。
そして、身振り手振りを入れるなら無駄のない、かつ面白いと観衆が感じるような動きを考えてそれも覚えなければならぬ。もちろん声による演技も忘れてはならない。
暗唱でやる、と決めてから(大体2月の初めごろ)ほぼ毎日、台本を音声化したものをiPodtouchでひたすら繰り返し聴き込む。次にそれに合わせて動きを付けたり台詞の読み方を考える。覚え方は8、9割程度といったところか?
だが、「鏡を見て動きを確認してみてね」と言われているにも関わらずまだ鏡で練習出来ていない……身体(せめて上半身)を確認出来る鏡が家では洗面台か浴室しかないのだ。寒さがまだ堪える時期には自ずと足も遠ざかる……などというのは言い訳か。
始めは意気揚々と始めた練習だが、2週間ほど続けるとげんなりしてきた。なるべく毎日聴き込むようにしているが、ストレスに感じ出したら他の音楽などを聴くようにしている。今ハマっているのは山崎まさよしさんのアルバム。
山崎まさよしさんの歌の良さに関しては別に書くとして、挑戦することに半端な情熱や楽しみ方が持てないようなら無理してやることじゃあないな、と感じている。
だが、完成すればまたひとつ自信が深まり、人前で表現活動するレパートリーが増える。強力なレパートリーが。
納め会まであとちょうど1ヶ月。毎週音楽の先生に聴いてもらうのもビビるほどなのだが、何とか上手くいってくれ! という感じだ。
不安を小さくするには練習しかない。自分で言い出したこと。ベストを尽くさねば。
さて、今日は事業所では絵手紙講座を受け、その後は自由制作だった。
絵手紙は雛祭りが近いということで雛人形をモデルに絵とメッセージをハガキとカレンダーに描いた。
だが、うちには雛祭りで祝われるような女の子はいない。女性は母とか祖母とか叔母とかだ。
少々雛祭りの定義を広汎化してしまうが、子供と言えば来月で5ヶ月になる甥っ子のことがいつも気になるので、甥っ子の健やかな成長を祈って描いた。
それにしても、絵手紙講座の先生はかなりお年を召されているが、かなりいい意味でお嬢様なのだろう。海外旅行にも頻繁に行くし、持っている顔料がかなりの高級品なのか発色が素晴らしい。事業所の代表(60半ばの女性です)やその母親にも教えたことがあったらしい。恐らく事業所の先生で最年長だ。
午後の自由制作……の前に昼食。
メンバーとして事業所に加わるか否か判断する為に見学に来ている人や、元メンバーのOBの人とすれ違った。
OBの人は現在女子大学生(ということはOGか?)、なんと芸術学校では日本トップクラスの東京芸大に通っていると言うではないか! 当人の持っている才能もあるだろうが、事業所の教育力の高さを改めて感じた。
新たにメンバーになるべきか、という見学者は40代の男性。元々企業で働いていた経験もあるらしい。
専門性の高いことは解らないが、なんとシステムエンジニアらしい。かなりの機械マニア。持っている障害はやはり精神の方らしい。
事業所内でコンピューターに詳しい人は先生の中に1人ぐらいしかおらず、その先生もソフトウェアはそこそこ解るが……ハードウェアやプログラミング全般まではカバー出来ない。
となると、もしメンバーとして加入してくれれば貴重な人材になりうる。何となく様子を見ると、昨日のエッセイに書いたメディアワークの内容がその人に合っているように感じる。
問題は慣れるまでメンバーでいてくれるかどうかだ。
システムエンジニアとして社会で酷使された挙句、対人恐怖症やら鬱病やらに罹ってしまったのだ。事業所のプログラムでは複数人で同時に受けるものもある。何とか『人に慣れるまで』続けてくれれば良いのだが。慣れさえすれば後は安心。
プログラムに明るいと聞いて、思わずRPGツクールなどゲーム制作仲間として勧誘する所まで夢想してしまった(苦笑)
正直、現在の事業所の環境やツクール公式の販売価格などを見れば簡単にゲーム制作の準備は調う。お互いに良き方向に向かって欲しいものだ。
また話が逸れたが、午後の自由制作は文字通り自由に活動してよいので、件のゲーム用のイラスト……キャラクターの立ち絵のイラストを1点描きあげた。
一番重要度が高いであろう主人公やヒロインなどのメイン人物ではなく、ゲーム内で街の人として普通に暮らしているようなサブ人物を描いてしまった。どんなキャラクターが登場するどんなゲームなのか公にするのは時機と場所を選ぶことにするが、90%以上僕の性癖が捩じ込まれたような女装青年の絵だ。所謂男の娘。やはり疲れて余裕が無いのかもしれない(笑)
1日で立ち絵1枚描けたのはかなり早い。しかし、これから準備する(描く)イラストや設定集、シナリオや世界観設定などはまだまだ膨大な物量を要する。
大変なゲーム制作を始めてしまったものだ、と思いながらも満更でもない自分がいる。それに、オタクは『設定資料集』と名のつく書物が好きなものだ。
無事ゲームが完成した暁には、その時点で溜め込んだ資料を纏めて、本にして出してくれようか。フハハハ……!
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