第15話 8月23日。昔の攻略本はよぉー(くだを撒く)
ゲームや創作以外に、今はちょっとした楽しみがある。
それは一昔前のゲームの攻略本、ガイドブック、ムック探しだ。
結局ゲーム絡みの、それもニッチな趣味じゃあないか、とツッコミを入れる人も多いだろうが、そう馬鹿にしたものでもない……と、飽くまで個人的ではあるが思う。
一昔前のゲーム攻略本は、単なる攻略情報を載せただけの本ではなかったのだ。
僕の知る中で最たる例は、スタジオベントから発行された『サガ・フロンティア裏解体真書』だ。
既に「表」の解体真書で充分な攻略情報やコラムを載せているのだが、裏解体真書はもはや攻略本というよりディープな『趣味』の領域なのだ。
本を開けば、まず作中の美形キャラクター三人のセル画風のイラスト。そして開発段階では主人公キャラクターの一人だったが、やむを得ない事情でサブキャラクター扱いとなったキャラクターが主人公の愉快痛快な小説が数章。よりコアなゲーム内の楽しみ方を手引きする企画の数々(RPGなのにタイムアタックとか理想の仲間キャラのビルドアップ法とか)。さらにイラストレーターによるゲーム内非公開も含むキャラクターイラストの数々。ライターたちの、楽しんで書いたとしか思えないおもしろコラムも大量に。さらにはゲームのクリエイターとしての目線が気になる人には堪らない設定資料集、ストーリー草案、開発者座談会などなど。
この通り、読み物としてまず楽しい。このマニアをも満足させようとする精神はその名の通りアルティマニア(ultimate究極のmaniaマニアを併せた造語)シリーズへと継承されている。
今もゲーム関係各社から攻略本は、昨今のネット社会によって先細り感はあるものの発行されている。
だが、現在の攻略本の多くは軽妙洒脱で愉快痛快なコラムや企画で『読み物』そのものとしての面白さを……全く無いとまでは言わないが、少々乏しい気がする。ゲームの攻略情報をデータベース状に載せて終わり、という感じの本が多い。
出版社の予算や人員の関係でやむなくそういった構成になっているのかもしれない。
だが、このままではネットの攻略サイトとの差別化が出来ず、攻略本からユーザーは離れていくのではないか。
ならば。
だからこそ。
読む度に読者をニヤリとさせてくれるような優れた企画やコラム、資料の公開や作品世界からの遊び心などが大事なのではなかろうか。
『裏解体真書』に限らず、読んでいて楽しい攻略本は沢山あった。否、今も本当は何処かにあると信じている。
故に……コレクターと言うほど資金も収納スペースも無いのでささやかなものだが、僕は古本屋やネットショッピングで昔のゲームのムックや攻略本を読むのが愉しみだ。
つい先日にもRPGツクールDante、RPGツクール2のガイドブック(当時はアスキー社より発行)をネットショッピングで注文した。
開発者による破茶滅茶なトークが炸裂していると聞いて、迷わず買うのを決めた。この時代の開発者やライターは、景気が良かったというのもあるかもしれないが、言うなればROCKな精神を持って関連商品を制作していたのだ。
もう家に届くだろうか。このニッチでマニアックなささやかな愉しみ。ゲーム文化が廃れる日が来るまで興じていたい。
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