第12話 8月9日。気負い、反省、ファンアート
今日で事業所はひとまずお盆休みだ。ゴールデンウィーク近く休みがあるのだが、休みが続くと却ってどう過ごして良いかわからず、廃人のようにぐったり過ごすことが多いから困る。贅沢な悩みに聞こえるかもしれないが、僕にとってはやはり事業所に通って誰かとコミュニケーションを取ったり作業をしたりするのが大きなやり甲斐なのだ。
で、水曜は音楽の先生に個別で教えてもらえるなのだが、前もったウォーミングアップとか事前練習とかをする間もなく始めてしまうことばかりだ。
その個別音楽で僕は発声練習、ピアノ、そして朗読を主に教わっているが、毎回緊張してしまう。
別に失敗したら罰を受けたり、酷くレベルダウンしてたりなんて事は無いのだが、前より成長出来ただろうか……などという事で余計なプレッシャーを毎回感じてしまう。
済めば大抵スーッとプレッシャーからくるストレスや身体のだるさなどは収まるのだが……取り越し苦労をするぐらいなら初めから気置い過ぎないようにしたいものだが、なかなか改まらない。
ピアノも習っていて、自宅に電子ピアノまであるのだが、自宅で普段まるで演奏しないのも我ながら勿体ない、痛いことだと感じている。大枚を叩いて買ったピアノ。少しは使いたいものだ。まともに演奏出来ずとも、せめて使うぐらいは。
――昨日は、友人から注意された。
メッセージアプリでのグループチャットのコメントの書き方がトゲトゲしい、険を感じると言われてしまった。
どうやら無意識的に攻撃的になったり、他者に意地悪をしようとしてしまっているようだ。
ストレスはストレスでも、事業所での人間関係から……と言うよりは、そんな人間関係や日常生活で自分の不甲斐なさをコントロール出来ない、自分自身へのいら立ち、不安や不満、ストレスだと思う。
気が付けば上から目線。そして攻撃的に。
我ながら全く恥ずべきことだと思った。
僕は注意をくれた友人に感謝し、また謝罪。そして発言する時は一呼吸置いて慎重になることを意識しようと思った。
そういう負の行ないは結局自分への損にしかならない。
人間だから、完全に理性で感情をコントロールするのは難しいだろう。
それでも、いら立ちやストレスを感じている時は発言を慎むか、むしろ他人に感謝の気持ちを忘れないべきだろう。
その方が自己コントロールという意味での精神が鍛えられるし、心も少しは浄化されるだろう。そう思いたい。
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今日の事業所でのプログラムが終わった。
朗読練習では新たにアレクサンドル・デュマの『巌窟王』をやってみた。
演じることの難しさや発声の負担もそうだが、やはり重い話なので披露する際は場を選ぶ、と再認識。
ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』とはまた違うダークさ。事業所の年度末納め会やクリスマス子ども会にはどちらにせよ向かない。
やる前からわかってはいるのだが……健康な肉体や資金がない僕は本格的な舞台演劇などは出来ない。ハードルはかなり高い。
しかし、朗読なら既にある程度好感を周囲の人から貰っている。
演劇の代わりに、という気持ちも大きいが、自分さえ努力して表現力をアップ出来るなら……事業所の外部でも披露してみたいものだ。
というか、既に二度ほど外部で演じる機会があった。残念ながら台本を持ち合わせていなくて披露できなかったが。
福祉施設の和やかで晴れ晴れしい場ではダークな、重い内容の朗読は向かない。
だが、それでもバリエーションを増やすことの意義はあると願いたい。必要な場面に応じて某猫型ロボットのポケットのようにサッと台本を取り出し、色んな人を楽しませたいものだ。
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後は、小説投稿サイト(多分このエッセイを読んでいる正にそのサイト)に力作を投稿されている作家さんに、その作家さんの作品に登場するうち好きなキャラクターの絵をファンアートとして描いていた。
サイトで活動する他人は皆ライバルだ! と意識している人は、敵に塩を送る行為だと思うかもしれない。実際、他者をライバル視することは僕自身もあった。
だが、自分なりに創作活動をするうちに、やはり楽しむことを優先させることにした。
中には書き手同士の企画で、コラボさせたりクロスオーバー作品へ発展させたりしているのを見かける。そういう試みは実に楽しいと思う。
文章でもイラストでもファンアートは作ったことはあるが、いずれ自分もそんな楽しい企画に興じてみたいものだ。
それには、エッセイでは難しい……一体いつ本命を再開出来るか、もはや自分にはわからない……お蔵入りさせたくはないが。
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