第23.5話 あたしは・・・

リーネとキューブが寝る時間と言って、しばらく経つと、

リーネの部屋から寝息が聞こえてきた。


リーネの寝息を聞きながらハツキに話し掛ける。

ハツキはあたしが料理をしていると、いつもソファで気持ち良さそうに

ゴロゴロしてた。


リーネはご飯食べないで寝てしまって、疲れてるんだろうね。

なんて話を振ったら、なぜかハツキはあたしの体型の話をした。

結構、気にしてるのに。。。

前も、可憐なお胸とか言ってきたし!!!

思い出したらなんか腹が立って来たので、

ちゃんと制御の効く右腕でナイフを

頬ギリギリに狙って投げてやった。


そうしたらハツキは素直に謝ったのはいいんだけど...

次は言うに事欠いて締まってるって!!!

確かにお腹とか割れてるわよ!少し・・・

でもそこまでじゃ...ないよね?

でもヤッパリ腹が立つからちょっと脅しておこう。


「ほう、ハツキはリザーヴより先に倒されたいみたいね?」


ヤバいっ!制御が!!

うわ。ハツキ近い。

最近ホントすぐ傍まで行っちゃうんだよね。

でもここまでやっちゃったらもう引けない。

指でも鳴らしておこう。


ハツキは多分、あたしより速い動きで土下座をした。

あれ?ハツキって普通の人間よね?


綺麗とか美しいとか...

世界で一番かわいいとか♪

ヤバい。

顔が熱い。

恥ずかしい。

見られたくない。

早く台所に戻らないと。


「次、言ったら本当に倒すわよ」

またやっちゃった。

ありがとっていいなさいよ!

あたし。


ハツキが変な事を言うから時間かかっちゃた。

お腹空かせてるだろうし、早く作ってあげなきゃ♪


ハツキが修行って何するのかな?と聞いてくる。

あたしは自分がやってきた修行を思い出した。


瞑想。

本を読み実践する。

滝行。

まあそんなのは明日リーネに聞かないとわからないのにね。


出来た!

今日もハツキ美味しいって言ってくれるかな?


あたしは出来たばかりの料理をテーブルに運ぶ。


「「 いただきますっ!! 」」


ハツキは子供みたいに、たくさんほおばりながら、


「ヒジリの作ってくれるご飯はいつも美味しいよね」

って言ってくれた。


フフン♪

そりゃ愛情たっぷり入ってますからね。

恥ずかしいから少しって言うけどね。

ハツキに引かれたらイヤだし。


ハツキが真面目な顔で能力をリーネに消してもらわなかった事に

後悔してないかなんて聞いてきた。

前も言ったのに。


この能力で後悔なんてしてない。

後悔はあの時の・・・


あの日の事だけ。


でも心配してくれてるんだね。

ありがとうハツキ。


ハツキが不安そうな顔をしていた。


そうだよね。

まだなにもわからないものね。

世界の常識が壊れた日。

リザーヴ。

それなら一緒に強くならないとだよハツキ。


「大丈夫だよハツキ。2人で強くなるって約束したでしょ?」


ハツキの顔が決心した顔になった。


その顔好きだよ。

ずっと見ていたいよ。


「ありがとうヒジリ」


どういたしまして。


食事も終わりハツキが片付けしようとしている。


いくら最上回復薬エリクシルで回復したとはいえ、

ゆっくりしてて欲しい。

そうだ!先にお風呂に入ってもらおう。


洗い物をしながら考え事をしていた。


「一緒に強くなろうか...


一緒に...」


狂神化バーサーカーの使用制限があと1回。

あと一回あのバケモノ・・・・になったらあたしはあたしで居られるのかな?

ん~ん。

ムリだよね。

だって記憶が無いんだもん。

それでもハツキを護ってあげれるよね。

あの姿から戻れなくなっても護れるよね?

でもハツキは優しいからきっと...

あたしを仲間だと言って傍に居てくれるんだろうな。

迷惑かけたくないな。


ハツキに伝えておこう。

言える内に伝えておこう。

あたしがあたしで無くなったらちゃんと


捨ててね・・・・


って。


でも面と向かって言うのは怖いな。

あ!今ならお風呂だし背中でも流しながらだったら言えそう!

そうしよう。

バスタオル一枚は恥ずかしいけど...


バンっ!

なんでハツキが悲鳴をあげるのさ。

あたしの方が恥ずかしいっての。

とりあえずバスチェアに座らせってと。


「だ、ダイジョウブです。ほんと大丈夫です」

座ってくれないと話出来ないじゃない!!






あ...

もう左眼から涙出ないんだ。

わかってはいたけどツラい。

本当にもうあたし



バケモノ・・・・



あ~あ。

やっぱり怒らせちゃった。

ハツキは本当に優しいね。

ありがとうハツキ。

こんなになっちゃったあたしを護るって言ってくれて。


ハツキ出て行っちゃった。

あんなに怒ったハツキ見たの初めてかも。

でも怒ってくれてありがとう。

あたしをちゃんと人として見てくれてるんだよね。

そのハツキの想いが今のあたしの支えだよ。


お風呂から上がったらちゃんと謝ろう。

目を見てちゃんと謝ろう。


お風呂から出て、謝ったら笑顔で許してくれた。

良かった♪


でも泣き虫とか。。。

たしかにあたしはすぐ泣いちゃうけど。


なにか飲むって唐突に聞くから思わず、


「飲む!ブドウの搾ったの飲む~!!」

なんて言っちゃったよ。

ブドウジュースって言えば良かった。

搾ったやつってなによ?

ジュースよ!ジュース!

そしてハツキもそのまま復唱しないで恥ずかしい。


恥ずかしさのあまり一気に飲んじゃった。

そしてこのコースター裏表逆じゃん。

ハツキ、置く面を間違ってるよ。


カタン!


あ、またやっちゃた?左手で置いたっけ?


あれ?魔法陣?


指輪...?


「え!?なにこれ!?」

思わず口に出ちゃった。


両思いの石フィーリング・ストーン???

最近、見てなかった。

だってあれ、あたしの想いで黄色になってたわけだし。

片思いだと黄色になるのよ!

恥ずかしいじゃ...


あれ?

紅...色...???


「好きになった。

ボクはヒジリが好きになった。

護ってあげたくなった。

護らなくちゃって思った。

だからさっきは悔しかった。

なにがあっても傍に居るから。

ずっと一緒にいよう...



だからコレもらってくれますか?」



ハツキ...

ありがとうハツキ。

本当に嬉しいよ。


ハツキが右手の薬指を見せる。


「あたしにも付けて」


あたしは恥ずかしかったけど右手を出した。

でも、ハツキにもらえる指輪はやっぱこっちがいいかな♪


あたしは手を動かし、左手の薬指に指輪を入れた。

ふふふ!

力の制御が出来ない左側が役に立つなんて!


「ありがとうハツキ。これを見ればなんか狂神化バーサーカーしても、大丈夫!」



「好きだよヒジリ。泣き虫だけど大好きだよ」


ほんとハツキは一言多いよね。

ダイスキだよハツキ。

思わずテーブルを飛び越えて抱きついちゃった。


はしたないけど、今日は許して下さい。

本当にあたし幸せです。


これからもずっと一緒に居たいと思える人が出来た。

独りになったあの日、

ハツキを独りにしてしまったあの日からは想像出来なかった。

今は隣にハツキが居てくれる。

あたしはずっとハツキを護りたいと心の底から思う。

例え何があったとしてもハツキを護る。

あたしがどんな姿になったとしても。

あたしの大事な人なんだ。


そう...


『あたしは銀髪のバ~サ~カ~』

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