第4話 旅の仲間
ハツキの目の前にうつ伏せで倒れている少女。
銀髪がとても綺麗でしっかり手入れがされているのがわかる。
「なんで裸の女の子がいるんだろう?」
ハツキは動揺しまくりだった。
先ほど、受けた衝撃が吹き飛ぶくらい。
一応、体を満遍なく見ながら呟く。
「今、起きたらボクが何かしたみたいになっちゃうよね」
ハツキは外套を脱ぎ、少女にそっと掛けた。
「さて、宝箱いただきますk・・・」
カサカサ
後ろで布が擦れる音がした。
「あれ??ココはどこ??」
か細く、消え入りそうな声。
「え!?えぇぇぇ!?なんであたし服着てないの~!!!」
ハツキの後頭部に突き刺さる様な視線を感じる。
しかし敢えて無視してみた。
見たい衝動を理性でどうにか押さえ込みながら。
ガマン・・・
「ねぇ?キミは・・・」
少女が問いかける。
ハツキは聞こえないフリを決め込む。
「ムシしないでよ!!!」
少女はハツキの前に回りこんだ!
ハツキは息を飲んだ。
そこには腰まである綺麗な銀髪、碧く紫がかった様な瞳、
透き通る白い肌の少女が外套に包まって立っていた。
チッ。少し期待していた自分を恥じる。
「大丈夫。なんとなく今の状況を把握してるから。」
そう少女は呟いた。
「そ、そうなの?」
声が上擦る。
「
と外套の端を掴み、カーテシーで挨拶する。
ヒジリは知っていた。初めましてではない事を。
「 初めまして ボクはハツキです。 」
ハツキは違和感を感じながら答えた。
「ブラン=エール?もしかしてあの有名な空挺騎士団の?」
「はい。しかし3年前に何者かの襲撃により全滅」
「そんな話、聞いたことある。一夜にして空挺団の一つが消滅したって」
「ワタクシは丁度、外出しておりましたので無事だったのですが・・・」
「そうだったんだ。3年前かー。」
ハツキは父が死んだのも3年前だったなと思い出す。
あまり思い出したくない記憶。
しかし忘れたく無い記憶。
「それはそうとしてさ・・・」
ハツキが切り出す。
「そろそろ前、隠したら?」
ヒジリはハッ!とした。挨拶の時いつもの癖でカーテシーを行った為、
外套が肩に掛かっているだけだった。
「きゃーー!」
思わずその場にしゃがみこむ。
「アンタさ。。。そう言うのはもっと早く言いなさいよ。可憐で清楚なあたしが
こんな格好していたなんて・・・」
「確かに可憐で清楚なお胸様でしたね」
ハツキは思わず声に出してそのままの感想を述べた。
次の瞬間、息が止まった。様な衝撃が。
ドンっ。
ヒジリの綺麗な右腕がハツキの鳩尾に入っている。
「次、言ったらコロすわよ!」
「は...い...」
ハツキはその場に蹲り
「禁句だったか。そしてこれが本性か・・」
と小声で呟き、意識が遠くなるのを感じた。
ハツキは後頭部に柔らかい物を感じつつ目覚めた。
「あ!起きた?おはよう。気分はどう?」
気分はサイアクです。
気持ちが悪いです。
でも気持ちがいいです。
「は、はい。大丈夫です。」
なぜか敬語になってしまった。
「そう、それなら良かった。」
ヒジリは涼しいような笑顔で微笑む。
見たことがある服を着て。
「あ、あと上着と外套はしばらく借りておくから」
ハツキの上着を着て、外套を腰に巻いてある状況だった。
カワイイ子は何着ても、似合うんだなと思いつつ見惚れていた。
「ハツキ?」
急に呼びかけられてハッとした。
「何、見惚れてるのよ」
「いやいや、そんな事ないけど。あるかもだけど。」
ハツキは照れながらどう答えていいかわからず返事する。
「ハツキはこのあとどこに行くの?」
「宝箱の回収終わったら、ボクは村に帰るよ。」
「そっか?あたしも行っていい?」
「別にいいけど。どうして?」
「あたし今、旅をしていたの。だから行く当ても無いしハツキと旅しようかなって決めたの」
おいおい。勝手に決めるな。ボクの意見は・・・
「もちろん、良いわよね?」
拒否出来ない視線で見られる。
魅了と恐怖が混同しているような感じがする。
「ぜ、ぜひ。ワーイ、ウレシイナ」
なんか口調が変わってないか?とハツキは思いつつ起き上がり
宝箱を開けたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます