第314話 桜

 黒猫姉さんが眠る桜の木。

 独りでそっと触れてみた。


 朝の木はヒンヤリしていて、僕には生命力など感じなかった。

 生きているはずの木に触れても、僕は生を感じない。


 桜の木は人の血を吸って色…色、そんな字を宛てた方が桜らしい。


 散り始めた桜の花びらには死を感じる。

 それは、とても美しく…僕もそうありたいと思う。


 窓を引っ掻くチョビさん

『ニートー!! お外、僕もー!!』


 もう少しだけ…生きていようか?


 もう少しだけ…数日?

 数か月?

 数年?


 今は決めてないけど…もう少しだけだよ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る