第300話 立ち止まる

 寒い朝、日差しだけは明るい。

『ニート、外に行きたいのだが』

 クロさんがノソッと窓の前に座る。

「寒いですよクロさん」

『開けて』

 窓をカリカリするので、開けると冷たい空気が部屋に流れ込む。

 空気が冷や水で洗われるように一気にクリアになったような気がする。

「クロさん…」

 ボスンッと凍った雪の上に降りて、庭を歩きだして向こうへ行く…

 ピタッと立ち止まり動かなくなるクロさん。

『ニート!! ちょっと!!』

 クロさんが大きく鳴いた。

 サンダルを履いて庭に出ると

『抱っこだ!! 早く!!』

 思いのほか冷たかったようだ。

『思いのほか、冷たかったんだニート』

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