第291話 今年は

 チョビさん、年末からずっとくっ付いている。

『ニート、おはよう…ニート、おやすみ』

 ほぼ、寝ているのだが、ベッドの真ん中で眠っている。

 目が覚めると、リビングへ来て、僕の膝の上で眠る。


 クロさんは、食事のときだけ、隣にテンッと座る。

 何年ぶりなんだろう…

 サラリーマンの時は、正月休みなんて無かった。

 誰も居ない会社のオフィスで独り働いていた。


 無職になってしばらくは、ホテルに引き籠っていた。

 バイトや派遣を始めてからは、昼夜逆転して、休みが無かった。


 今年は、10日も休みがある。

 ベッタリとくっ付いてくる、チョビさんとクロさん、それだけで特別な気がする。


 ずっと…ずっと…この小さな温かさが…

 僕には、とても尊いものに思えて…涙が零れる。

 ずっと…ずっと…

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