第133話 デレる

 焼き鮭。

 クロさんの大好物である。

 いつもはクールなクロさんも焼き鮭の前ではデレる。


 ピタッと脇にくっついて、皿を覗き込む。

『ニート…魚くれ』

 ほぐして、掌に乗せるとペロペロと食べる。

『もっとくれ…ください』

 ほっとけば、切り身1つたいらげそうだ。


 チョビさんは、焼き魚より刺身派だが、とりあえず食べてみたい気分にはなるようだ。

『ニート僕も…』

 クロさんは、テーブルには乗らないがチョビさんは平気で乗る。

 そして平気で皿から食べる。

 自由だ…。


 クロさんは切り身が無くなると、フイッとまたファンヒーターの前で眠る。

 クールなのだ。

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