第10話 携帯の電池切れは死活問題。
携帯の電池切れが豚平にとっては痛かった。
こういう大事な時に限って電池切れとは運が悪く家族に連絡できない状態になってしまっていた。息子のマンションにやっとの思いで辿り着くと身体は冷え切ってブルブルと震えていた。直ぐに、シャワーもせず。寝床に飛び込んだ。爆睡して寝入ってしまった。
翌朝、昼に目が覚めると、昨日の雪が嘘のように、晴れ渡っていた。跳び起きて駐車場へ急いで向かうと車がスリップして動けない状態なので、雪が解けるまで待つことにした。昨日の雪空は何だったのかと、光線が眩しいくらいであり、
天候の変化に驚いてしまった彼であった。豚平は危うく命を落とすところだった。こんな街中で之倒れなんて見っともなくてしょうがなかった。
自然現象の恐ろしさを目の当たりに見て、人間の果敢なさを感じてしまう彼であった。すべてに渡ってもう少し慎重さが必要だったことを猛省していた。
彼の脳裏には昨日の車内での爆発の光と爆音が残り、身近にこんな危険が潜んでいるなんて思いも寄らなかった。こう高電流が流れる車内に閉じ込められて感じは、死刑員のような気分で死が頭に過り、首都圏で、こんんあ痛ましい事故が起ころうとは予感すらしなかった。死を考える時に、人間の果敢なさと脆さが、こんな状態で襲おうとは思いも寄らなかった。
翌日は昨日の天候が嘘のように快晴であって、自然の変化に対応できない自分の浅ましさを感じていた豚平だった。
「駅で待たされていた乗客はどうしただろうか」気遣ったが、生きている自分の姿と行動に生きる悦びを感じていた。「こんな快晴の日が来るなんて、昨日には考えられなかった」
「もう少し、考えて行動していればな」
息子の自宅から門子に連絡して、電池切れを伝えたら「バカね! 充電器ぐらい持ち歩きなさい」とバカにされた。
「私が電池の充電器を買って置くからね」と「昨日は連絡が取れないから市役所まで電話したのよ」と心配していた妻の門子に感謝した。
「チェーンを捲かないと走れないし、駐車場が坂で、車がスリップして動けなかったんだな」
「今時、単線でしかも、竹藪ごときで電車が止まるなんて考えられないな」
「JRのサービスがなっていないな」
「どんな状態でもサービス精神があったのなら、バスの臨時便などを出せるのにな。残念で仕方ないな」
首都圏の雪に対する脆さが諸に出てしまった事故だった。73歳になって初めて身の危険を感じた豚平は「この歳で、命がけの事故に会うなんて人生とはいろいろあるな」
災害王国日本の普段からの心構えが政府しまり、公共団体しまり、鉄道しかり、日本の行く末に不安を感じる豚平だった。
五輪をやる国の成田国際航空までの連絡線が、雪で、しかも、竹藪の竹の倒れで普通になるということは、どうしても考えられない結果だった。「あのぐらいの雪で不通だなんて……。どうかしてるな」
「安売りのチケットが間に合わないで、他の路線で乗り換えたオバサンはどうしたかな」国際空港へと導く路線が雪で不通とは「JRの怠慢ではないのか」と感じる豚平だった。国鉄からの民営化も、合理化過ぎて、弱いところは廃線か間引きになることになってしまって、公共の鉄道でのやり方としては、本当に良かったのか」と想う豚平だった。
首都圏でも単線はまだまだあり、世田谷でも玉川線がチンチン電車のように走っているのを見て、「ツクヅク、日本は極東の田舎だな」と想った。「日本の政党政治の限界を感じる出来事だった。「日本って、まだまだなんだな」「民間企業だったら、どんぶり勘定なんて、50年前の話だな」
「見積もりだった3社競合が当然な民間企業なのにな。あまりにも、公共的な仕事は遅れているなぁ。50年も……」
日本の行く末に疑問を感じる豚平だった。73歳にして体験した事故は日本の不安さを感じさせる事件だった。
次の日は日曜日で診療所は休診だった。
午後3時になると駐車場の雪も解けて、どうにか車が動ける状態に回復していた。道路には、まだ、雪が残っていた。車輪の部分の下は動けるのだが、真ん中に雪が残っていて、ザリザリした音をたてて走らなければならなかった。車の下部に雪が当たるとハンドルが取られて運転しずらかった。スリップに注意ひてハンドルは滑る方向へと従うのが雪道での鉄則だった。豚平はスキーでのボルボの運転をしたことがあったが、その経験が生きていた。スピードは出さず。ゆっくりと走るのがコツである。「今日のような天気だっtら、昨日のような目に会わなかったな」一日違いで天候がこれ程、違うなんて夢のようであった。現実には快晴の午後の時間での雪道でのドライブは危険さが含んでいたが、慎重に、慎重に運転しながら、家路を急いでいた。
何時もよりも倍の時間がかかったが、どうにか、家まで辿り着いた。
「何回も、何回も連絡したのよ!」
「市役所まで、電話しちゃったのよ!」
「俺もな。この歳までで、はじめての経験だったよな」
「携帯の電池が切れrているしな」
「まさか、電車まで、止まるとな思ってもみなかったよな」
「こんな家の近くで凍死だったら、みっともないよな」
「でもね。命あっても物種だわよね」
「そうだよな! JRの奴はこんな時に竹藪の竹のトウセンボで止まるなんて許せないぜ」
「もう、オリンピックなんか、返上ね!」怒りが込み上げてくる夫婦の会話だった。「息子のマンションまで、戻ろうとしたが、その電車まで、止まってしまっていたんだな」「悪い時は重なるのね」
「事故って、悪いことが重なるのね」
「雪山だったら、自己責任だけど、平地でだぜ。考えられないよな。普段の通勤っだぜ!」
「最初はテロかと想ったよな」「ピカッときたあとに爆音だぜ」「誰だってテロだと勘違いするぜ」
「自動車も走れないから不幸が重なったのね」
「そうなんだな」
「まさか、高圧電流が車外に流れているなんて、想像もしてなかったよな」
「5メートル先で爆音だぜ! 吃驚しない方が普通だよな」
「ピカドンだからね。こんな平和な時代に考えもしなかっあちょな」
「実際のテロや戦争だったら。恐怖だね」
「車外にも出られず。高圧電流の流れている車内に45分間も閉じ込められたら。生きた心地もしなかったよな。スマホで車内を中継した人の画像を息子が見ていて「うちの親父も閉じ込められているんだろうか」と電話があったんだけど、まさか、まさかが本当だったのね。
「一時は俺もだめなのかな。こんな家の近くで凍死かなという考えが頭を過ったぜ!」
「そうだったの! 冗談ではなく本当に車内にいたのね」
「そうだったんだよな。心細いったら、なかったよな」
「ラーメンを食べたけど、シンシンと冷え込んで、最後は震えがきていたよな」
「危なかったわね」
「連絡が取れないから不安だけが増大しちゃってね」
「どうしてラいいのか。解らない状態だったわ」
「息子の予感はズボシだったね」
「こんな時に電池が切れていること時代あんたの携帯の管理が悪いのよね」
「俺も迂闊だったな」
「まさかの携帯の時間切れだろう。公衆電話もないし、緊急の地震などでも使えなくなる携帯も不便さといい加減さがあるツールだよな」
「人生の後半でこんな怖い目に会うなんてね。思いもしなかったよな」
「永く生きていればいろいろあるわよね」
「ほんとうだよな」
「備えあれば患いなし」の言葉のように高々電池切れがこんなにも響くとは想像もしていなかった豚平の心にポッカリと空洞が空いてしまっていた。
携帯電話の大事さが分かった事件だったが、東北大地震の時にも、災害現場で携帯が使えないというアクシデントがあったが、文明の利器の故障というものは、普段想像するよりもショックが大きく。手軽さと便利さだけでは、アクシデントの対して対応できない甘さが浮彫りになった。あまり身近過ぎて、使用に便利であるということは、故障の時の反動が大きすぎることを学んだ豚平は公衆電話の意外な便利さを感じさせた事件であり、携帯に頼りすぎるのは良くないことであると認識した。スマホも楽しいし、便利ではあるが、これがアクシデントで使えなくなる反動は大きすぎるほどであり、ハワイでは歩きスマホ禁止令が出たが他の国々も追従するであろう。電車の中での異常さといい。このツールだけで本当に、いいのか、考えさせられる問題が発生させた事件だった。「便利さが多いほど、ソノモノがない時の反動は大きく惨めであることを学んだ豚平は充電のしなくていいような、例えば、太陽電池でのスマホなどを新しく考える必然性を感じていた。「所詮、人間の造ったものには必ず、欠陥があるな」という認識が芽生えていた。乾電池2つの充電器を早速、妻、門子は買ってくれたが、重くてしょうがなかった。電池切れを恐れて2つの充電器を持ち歩く豚平は重くなったカバンで行動したが、不便さを感じていた。
便利なモノが故障すれば、その反動で辛さが倍増して返ってくることを学んだ彼は、コンピュータの社会では故障という難問が控えていることに恐れを感じた。
「73歳で死の恐怖に曝された豚平は、人生って何が起こるか分からない」と叫びたかった。
「パパがケチだからよ!」
「2台ぐらい携帯をもったら!」
「2台の充電器で重いのに、2台の携帯か?」
「やだねぇ~」
「何時もは、充電してるのに……」この日に限って、何故、忘れたか。悩ましかった。
「滅多にないことだな。携帯が切れるなんてね」
「そういう時に事故が起こるのよね。意地悪にね」
「予期せぬ。事故だったな」
「パパはしょっちゅうジ充電してるのにね」
「でもね。結局、便利なようで、不便なのさ」
「どうして?」
「切れるというサインが出ないからね」
「何重にも、保険をかけないからな」
「ダウンサイジング化を考え過ぎて、機能不足の面もあるよな」
「それは言えるわよね」
「電池を2つにするとか、改良しないとね」
「今のままで、いいわけないよな」
「公衆電話が懐かしいわよね」
「あれの方が良かったね」
「街角には必ずあったしね」
「今じゃ、殆どなくて寂しい感じだよな」
「郵便ポストも昔の方が人間的だったわね」
「結局、AIなども人間の情感が出ないんだな」
「音楽だって、生演がいいんだけど、デジタル音は俺は嫌いだな」
「音が悪すぎるよな。今の若者は良く我慢しているね」
「便利だけど、質の面では劣るのよね」
「ただ、便利なだけさ!」
「携帯も腕時計ぐらいになるけれど、感心しないな」
「ダウンサイジング化はするけど、機能の質とアフタケアの問題は確かに残るわね」
「俺もねぇ、スマホが出た時に厭な予感がしたんだな」
「いずれは携帯からスマホになるだろうが、俺はスマホのマイナスを考えたよな」
「まず、料金が高いね」
「画面が小さいね」
「ハワイのようにいずれは、禁止になろよ!」
「当然よ!平気で人にぶつかってくるしね」
「危ないわよね」
「本も読まなくなるしね」
「スマホの小説も読み悪いしね」
「大きな画面で見ればいいのよね」
「でも、重いしね」
「行う場所を決めた方がいいと思うよな」
「雪にもろい携帯カナ?」
「もう、携帯の話は止めよう!」
「腹が立ってくるからね」
「命あっての物種だん」
「俺も久方ぶりに慌てたな」
「無事で良かったじゃないの」
「モノに当たって仕方ないものね」
「普段から文句を言い過ぎていて、感謝の気持が足らなかったのじゃないの」
「そうかもしれないね」
73歳になって九死に一生を得た豚平は満足であった。思ってもみなかった事故に出くわした事実は永年の皺に刻め込められるであろう。人生の後半戦での事件によって、生まれ返った気持になって新しいこと、社会奉仕を行うことを心に描いていた。
「こんなことって、実際、身近に起こりうるんだな」
「掛け替えのない人生で、予想だにもしなかった事件が起こった。それも命にかかわることであり「たった30分での車での道のりのところで出くわすとは、なんということだ」
「海外でもないのに、空港への路線であるのに……」
「人生とはそうゆうものなんだな」としきりに考えていた。
「予期せぬ事故が起こるなんて、忘れたころに遣ってくるんだな」
「リタイア後は平凡な生活だったのに」
「急に大層な事件に出逢うなんてね」
「こんな家の近くで討ち死にとはね。困ったもんだね」
「今だから笑い話だけど、当時は慌てたよな」
「今時、雪倒れだぜ!」
「出家と、その弟子の親鸞聖人じゃないのにね」
「そうよね。小説でも書ける事件だったわね」
「見の危険を感じたことは今までになかったものね」
「どろぼうには入られたけど、不在だったしね」
「家庭生活の中で、車の事故は若いときには体験したけど、電車の中では、はじめてだったね」「高圧電流が外を流れているなんてね。雪で架線が切れたのが大きかったね」
「雪って結構、重いのよねぇ」
「でもさ、我々の電車の中で切れなくともいいのにね」
「それも運命よね」
「そうだね。雪崩に巻き込まれるなんて誰も予想していないしね。子供だけ助かった事件もあったしね。自然は恐いよね」
「災害の多い日本では普段から、防災訓練をして、国も永久的な施設を考えないといけないわ」
「そうだよね。税金も納めているんだから、予備の建物ぐらい建てておかなければね」
「政治って、先見性がないよのね」
「もう、こうなるんだと分かっているのにね」
「俺も後の人生は人様のためにつくすように心掛けるよな」
「いいことよね。限られた人生だからね」
「残り少ないのよね」
「変なこというなよな。夢も希望もなかなるからな」
「診療所の受付で人様のために働いているのにね」
「でもね。何か起こる予感がするでしょ!」
「俺には、なかったな。予感すらしなかったざ!」
「パパは鈍いのね」
「確かに、女性の方が霊感があるみたいだよな」
「俺はどうしても動物的な感があまり、ないんだよな」
「それはわかるわね。パパは鈍感だものね」
「悪かったな。余計なお世話だよ!」
「15年ぶりの雪だったかな?」
「暫く、降らなかったわね」
「診療所にご5時までいたしな!」
「普段の行いが悪いのよね」
「冗談じゃないよな! 普段から神棚で拝んでいるよな」
「だから、助かったんじゃないの」
「それもそうだな」
「怒ることないよな」
「感謝、患者で神棚へ拝みに行こう」
「想いも寄らない事故でも助かったから良かったじゃないの」
「しかし、近来稀な雪だったな」
「災害は忘れたことに遣って来るよな」
「予期せぬ出来事だから慌てるのよね」
「生きて帰れたから笑い話で済んだんだけれどもね」
「あんまり、ツールに頼ってはいけないということだね」
「携帯がダメだと返って、昔の公衆電話がないから困るよな」
「公衆電話も最近、見掛けないわよね」
「コンビニにたまに、あるくらいで都心でもないんだよな。公衆電話が……」
便利さはツールが故障した時に返って倍返しになって問題が大きくなる。
便利になればなる程、故障のリスクは大きくなるということを体験した豚平は負の遺産が増えることの危険さを学んだ>
最近はゲームなどを行えるスマホであるが、目の病気が増えている。病名は「スマホ老眼」という。長時間使用すると健康被害だ。スマホを長時間使い続けると遠くがボヤケて見えてしまう。イヤホーンでも難聴になる。文明の利器も使い過ぎると健康を害する。このユキピタス時代を恐れることはない。コンピュータには故郷がなく。画一的な製造であって、人間味にかける道具ではあるが、AI
に支配される時代も近ずいてはいるが、使う側の人間が良い人でなければ困る。悪用すれば、何をするか分からない。人間がそれぞれにインプットした命令に従うだけであるが、将来的にアイディアまでも支配されようになると、どのような世界になるのか想像がつかない。人間の故郷や感情をどのようにインプットして人間に近ずけるのか、知りたいが今は解らないことだらけであって。人間の方が支配しているが、AIやロボットに抜かれたあとの人間は何をしたらいいのか見当もつかない。人間は美的センスや感覚が優れているが、まだ、コンピュータには色気や男気が足らないが、ますます、近ずいてくるであろう。エンタテイメントにおいても、すぐ飽きられてしまうデジタルではあるが、人間を越えた後はどう進歩してゆくのであろうか。
豚平73歳の老人のはじめての体験は受付と雪による事故であったが、2つの要素を一遍に体験した彼は成長したことはあるであろうが、これからの方向性に生の概念や有限の命に関する考え方の大転換が必要になってきたのである。
「任天堂の株を買いそびれたよ!」
「何で、勿体ないな! 今、上がってるじゃないの」
「これから、ゆっくりと上がるぜ!」
「でも、もう、飽きられたよな。GOもな」
「違うのが出ているのよね」
「デジタルエンタテイメントは長く続かないのね」
「そうさ、直ぐに飽きてしまうよな」
「サイクルが短いねぇ」
「もう、公園に人が集まらないだろう」
「そうね。何だったのかしらね」
「あまり、期待しない方がいいよな」
「あまり、遣り過ぎるとスマホ老眼になるぜ!」
「あれは、遣り過ぎよ!」
「俺もお前のつくってくれたブルーライトカットのレンズで頑張っているからな」
「感謝しなければね」
「それに老眼鏡ではプリズムを入れて上下斜視を矯正してくれているんだからね」
「でもね。眼科の先生がスマホ老眼になったら、様にならないぜ!」
「そんなに、遣ってないよな」
「でも、診療所も混んでいるなあ」
「あんな階段の多い診療所へ良く来てくれるな」
「最近はドンドン目が悪くなる要素や誘惑が多いからね」
「便利だが、20代で老眼なんて、様にならないよな」
「なんでも休まなければね」
「そうだよな休養は必要だね」
「73歳の現役受付でも出来た悦びを感じるよな」
「いいことじゃないの」
「でも、同じことを遣るのも苦痛だね」
「いい経験じゃなかったの?」
「でも、命がけだったからな」
「家に飛び込んで来た時は顔は真っ青で震えていたよね」
「危なかったよな! これからは気をつけるよな」
≪了≫
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