メインヒロインが多いのは仕様ですか? 4
【メインヒロインが多いのは仕様ですか? 4 あらすじ】
午前中にバスケ部の大会、午後に弓道部の大会、夜にライブと三役の助っ人を見事に果たした僕。約束を果たしたのはいいけど、これによってさらにヒロインが増える結果に。そんな中、また新たに転校生がやってきた。魔王、異世界ヒロインに続いて、今度はなんと超能力者!? 彼女のテレパシー能力のせいで、僕を中心としたヒロインズの人間関係はどんどん険悪になってしまって……。
ヒロイン
【メインヒロインが多いのは仕様ですか? 4 試し読み】
(昼休み。屋上。大事な話)
突然、頭の中で声が響いた。
僕が教室を見回すと、もう一度同じ声がした。
(前の席。私)
前の席? 前の席には、先日転校してきた女子生徒が座っている。自己紹介の時も無口な様子で、自分の名前を黒板に書いて、「よろしく」としか言わなかった女の子だ。
(驚かせてすまない。聞いて)
驚くな、というのは無理があるが、僕は前の席の背中を見つめたままうなずいた。
(これはテレパシー。大切な話。昼休み。屋上)
彼女は最初のメッセージを繰り返した。
(敵じゃない。信じて。待ってる)
そこで、頭の中で電話が切れる時のような、ぷつん、とした感覚があった。
彼女の言うことを信じるなら、転校生は超能力者らしい。
にわかには信じられないが、僕の頭の中に直接メッセージが送られてきたのは確かだ。それに、今までだった魔王が転校生としてやってきたり、異世界を冒険したり、不思議なことばかりが起こっている。超能力者が現れても不思議じゃないのかもしれない。
午前中の授業を上の空で受けた後、僕は昼休みに、屋上へ向かうことにした。
屋上は普段は解放されていないはずだが、鍵はかかっていなかった。
これも、彼女が超能力で開けたのだろうか?
屋上に出ると、転校生が立っていた。
(ありがとう)
彼女はやはり、テレパシーでそう言った。
「普通に喋ったりはできないのか?」
(できる。けど、こっちが慣れてる)
そういうものなのか、と思いつつ、僕はうなずいた。
(大事なこと。話す)
ごくり、と僕は唾を飲んだ。
何せ超能力者がやってきたのだ。もしかしたら、世界の終わりとか、命を狙われているとか、そういう物騒な話かもしれない。
しかし、次に頭に響いたのは、予想を裏切る言葉だった。
(キミ、誰、選ぶの)
……は?
(だから。女の子。誰、好きなの?)
ええ!? コイバナ? テレパシーでコイバナ!?
(魔王、可愛い。幼なじみ、可愛い。生徒会長、おっぱい。副会長、さらにおっぱい。異世界の子、ヤンデレ可愛い。バスケの人、美人。弓道部、ロリ。ギターの人、美人。担任、大人の魅力。保健室の先生、エロス)
「ちょちょちょ! ちょっと待って!? テレパシーって心まで読めるの!?」
(愚問)
うわあ、改めて並べられると恥ずかしい。いや、確かにみんな可愛いし、情けないことに選べない、というか、あえて意識しないようにしてるつもりだったんだけど。
(立候補)
「え?」
(私、無口、眼鏡、新キャラ。……如何?)
「そ、それは……、えっと、つまり」
(イエス。告白)
彼女のこのテレパシーが、僕を巡るヒロインたちの人間関係を破壊する第一歩になるとは、僕は夢にも思っていなかった。
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