メインヒロインが多いのは仕様ですか? 2
【メインヒロインが多いのは仕様ですか? 2 あらすじ】
僕の『ヒロインひきよせ体質』で異世界からやってきた魔王と、僕の幼なじみが繰り広げた召喚獣バトルは、お嬢様生徒会長の機転もあり、引き分けに終わった。あのバトルで魔王と幼なじみも仲良くなったみたいだし、一件落着……と思ったら、今度は僕らの方が異世界に迷い込んでしまった!
しかも、魔王や幼なじみ、生徒会長、副会長とはぐれている間に、またもや僕は新しいヒロインをひきよせてしまう。そのヒロインと二人で異世界ダンジョン攻略を目指すことになり……。ヒロイン
【メインヒロインが多いのは仕様ですか? 2 試し読み】
「あ、あの……勇者様は、一人でこの世界に転生されてきたんですか?」
彼女は遠慮がちにそう言った。
お互い、同じように普通に高校生から偶然この世界に転生してきたのだと分かり、少しは警戒心が解けたのだろう。さっきよりは、声色から安心感が読み取れた。
「下校途中に、友だちといる時にトラックにはねられて、どうも五人で転生してしまったみたいなんだ」
「そうだったんですね……。私も、トラックにはねられて、気が付いたらこの世界にいました」
「君は、ひとりで?」
「……はい。ずっと、一人で……右も左も分からなくて。元の世界にいた時の本やゲームの知識で、なんとか生き延びてきたんです。でも今日、勇者様と出会えて、こんな私にも仲間ができたと思うと……」
そう言った彼女の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれた。
「大丈夫、ここからは一緒に冒険しよう。僕が君を守るよ」
歯の浮くようなセリフだが、僕は心の底からそう思っていた。
それを聞いた彼女は、栗色の長い髪を揺らして僕に体を預けてきた。
「嬉しい……! ごめんなさい、はしたないって思うんですけど、ちょっとだけでいいので……ギュッてしてください」
華奢な見た目の割に、彼女の体はとても柔らかかった。自分でも胸がバクバク鳴るのがわかったが、やましい気持ちを抑えつけて、彼女の体をそっと優しく包むように抱いた。
「大丈夫、大丈夫だよ。一緒に、元の世界に戻ろう」
「……はい、勇者様」
僕は、ポンポン、と彼女の背中を優しくたたいた。そして、彼女が落ち着くように、そして自分がヘンな気持ちにならないように話題を変えた。
「その勇者様っていうの、なんか照れるね。僕も元々はただの高校生なんだから、普通に呼んでくれていいよ」
「……でも、私にとっては勇者様なので、そう、呼びたいです」
こんなに女の子に頼られたのははじめてかもしれない。
「じゃあ、一緒に元の世界に戻ったら、お互いの本当の名前を教え合おう」
「はい、それだったら、私、がんばれます!」
彼女が顔を上げて笑った。
まだ涙のあとは頬に残っていたが、最高に可愛い笑顔だった。
その時、
「ず~いぶん、良い雰囲気じゃございませんことぉ(怒)」
と、後ろから聞き慣れた声がした。
慌てて彼女から体を離して振り返ると、巨大斧を振りかざした生徒会長と、その後ろで召喚獣のドラゴンを従えた魔王、幼なじみ、副会長が鬼のような形相で立っていた。
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