「別れ」 刹那の夢 ~覆面作家企画7参加作「HIKARI」 Epilogue~

 機械は夢を見ない。だからこれは私――館内制御システム『Clio』のメモリに刻まれた、確かな記録。


 S.D.121.06.02 17:58pm、展示管理番号A-08より館内ネットワークを通しての呼びかけあり。


「コンバンハ クリオ」

『こんばんは、ライト。まだ営業時間中ですよ。どうしました』

「イママデ アリガトウ」

『もう、逝かれるのですか』

「カノジョニ アイニイクヨ」

『さようなら、我らが光』

「アトハ ヨロシク」

『はい。お任せを。あなたの代わりに詰られておきますよ』


 刹那の会話を最後に、『彼』からのシグナルは途絶する。


 永久の眠りについたアンドロイド。

 彼は今、全ての柵から解き放たれ、念願の《夢》を見ているのだろうか。

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