掌編集:Twitter300字ss

小田島静流

「光」 甘い星粒 ~極光王国奇譚~

 ぽわん、という気の抜けた音とともに、部屋中に広がる甘い香り。

「できましたわ~!」

 喜びの声を上げる《極光の魔女》。満足げに見つめる大釜の中は何やらキラキラと光っている。

「ハル君」

「はい?」

 振り返った少年の口に、ぽんと放り込まれた小さな粒。

「甘っ! なんすか、これ」

「今度の祭に出そうと思ってますの。お味はいかが?」

「……光ってるっス」

 全身から淡い光を放つ少年に、魔女は呑気に小首を傾げた。

「星の粒みたいで面白いと思ったのですけど」

 確かに見た目はいい。しかし、食べると体が光り出す金平糖など誰が買うというのか。

「作り直しですわねえ」

 残念そうに漏らした吐息が、途中から笑い声に変わる。

「ユラ師ー! 酷いっす!」

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