第78話 そろそろ来てくれるようにメールして
日記の更新後、ソッコーで陣痛が来て病院に行ったら既に子宮口が7㎝開いていた。
朝から生理痛の5倍程度の痛みがして「orz」なポーズを取りながら家事をしていたが、痛みの感覚がマンボNo.5のリズムから(日記の更新後には)5分おき間隔で痛みが走るようになり流石にヤバいと思って病院に電話をしたのだった。
脂汗をかきながら診察室に入り看護師さんに待ったをかけながら触診を受けた。
「あー開いてるね。LDR室だね」と言い、勢いよくズボっと指を突っ込んでホジホジしたお医者さんはもっと患者を大事にしたほうがいいと思う。
LDR室(出産から回復まで一括でできる分娩室)に行った途端、あまりの痛みにエビ反りになりながら尻を押さえていた。ついてくれた助産師さんから、子宮口が開ききる(10cmになる)まではいきみと痛みを堪えてくださいと言われ、「出したい」と訴える体の反応を抑えながら分娩台の上で唸っていたのだった。
見かねた助産師さんがなぜか尻をさすってくれた。
痛い箇所はもう少し上だったのだけど痛すぎて言えなかった。
スマホ持込可だったので「痛みの合間を縫って旦那さんにそろそろ来てくれるようにメールして」と言われたのが今回のハイライトだ。
陣痛は痛みが数十秒続いて止んでを繰り返すが、無茶言うなというレベルだった。
男性の場合だと、尿路結石で石が出そうな時に痛みを堪えながら家族にメールしてと言われているレベルだそうだ。
あのビックウェーブに耐えながらメールができた自分を褒めてあげたい。
「子宮口全開です、赤ちゃんのタイミングに合わせていきんでください。」
と言われ、全力でいきんだらバリっという音がして股が裂けた。
出てきたのは息子だった。
ドラマみたいに感動で泣くのかと思っていたけれど、痛すぎたので放心状態だった。
あとうんこが漏れた。痔については…察して欲しい。
夫が瞬間に間に合ってたら、きっと後々までイジられていた。
息子は産まれた時から頑固さを感じる顔だった。そしてなんか黒かった。
新生児は猿か亀かガッツ石松に似ると経産婦の友達から聞いていたが、DNA検査なんかいらないレベルで夫に似ていた。
ガッツ石松:夫=2:8だ。もしかしたら1:9かもしれない。
痛みに反して病院についてから3時間で出産が完了し、助産師から本当に初産婦なのかと驚かれた。あとちょっと完了が早かったら、(コロナだったので)夫は立ち合いに間に合わなかった。研修で学生さんが一緒に入っていたのだが、こんな事例は参考になったのかと疑問に感じるお産だった。
助産師さんから「羊膜が強靭でよかったね。あんなに子宮口が開いていたら破水して危なかったよ。」とも言われたのだった。やっぱり夫の子供だ。
夕方の出産だったので分娩台の上で晩ご飯が出た。もちろん完食した。
完食したせいか、出産後息子の体重(3kg)しか体重が落ちていなかった。
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