第19話 イジリーと牡蠣(下)

自分のアレな合コンの話を書こうと思ったけど、まさかこんなに長くなるとは自分でも思わなかった。

それでは後編のはじまりはじまり。



「なんかヤバくない?(財布が)」

「なんかヤバくない?(メンバーが)」

2人でヤバさを確認し合いながら店内に入ると

「やぁ、君たちが賀集(略)の言ってた子たちだね。」

と爽やかさゼロの笑顔で挨拶してくる男がいた。

男はイジリー岡田に似ていた。友達は泣きそうな顔をしていた。

「俺、牡蠣好きなんだよね。みんなも牡蠣でいいよね!」と全く周りに聞かずにオーダーを進めるイジリーに、「あぁ、絶対こいつモテないわ」と心の中で冷静にジャッジしながら、早く来いよ先輩!と思いながらイラつく私だった。

牡蠣を美味そうに吸い込んだり、自らの恋愛論を披露したりするイジリーの相手に疲れ切り、白旗をあげそうになったところで先輩が登場した。本当遅いよ!

隣を見ると、友達の目がハートマークになってた。

きっと吊り橋効果ってやつだろうそうだろう。

その後は友人のミサミサ(仮名)にイジリーからの猛アタックが入ったことと、友人が連絡先を2人に渡していたこと。

会計の時に、私だけなぜか自腹を払わされたことくらいしか覚えていない。

給料日前でピンチだったから絶対に許(以下略)。


帰り道、「実は連絡先、賀集さん(仮名)だけは本アドと電話番号教えちゃった♡」と嬉しそうに話す友達に、まぁ頑張れとしか言えなかった私がいた。

案の定、イジリーからは毎日のようにメールは来たが、賀集先輩(仮名)からは

なしのつぶてだった。かわいそうに。


その話を聞いた夫は、

「あー、賀集(仮名)くんにイジリーかぁ。知ってる知ってる。

まさかそこでつながってるとは思わなかったー。」と言って大笑いしていた。


世界って、狭い。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る