日常

タスト

第1話 下校

「あー…暇だなぁ。何か面白いことないかなぁ。」


真夏の日差しが照りつける中、高校2年生の平沢 響ひらさわ ひびきはとぼとぼと歩いて校門を出る。


「お前、それいつも言ってるよな。」


あっつ、とYシャツの胸元をつまみ、パタパタと仰いで風を送りながら響の隣を歩く、クラスメイトの篠崎 翼しのざき つばさが言う。


「だって思わない?毎日毎日同じ生活でさ、飽きちゃうじゃん。」

「そうか?」

「何か事件とか起きたら面白いのに。」

「…不謹慎な。」


不謹慎ったってそうじゃないか。

他人の不幸ほど見ていて面白いものはないし。


響は今日もそんなことを考えながら、パトカーや救急車の音が聞こえてくることを期待していたが、結局何事もなく家に着いた。

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