第25話 大バカ野郎
「バカ野郎! バカ野郎! お前は大バカ野郎だ!」
目の前でアイさんが叫んでいた。アイさんの後ろに見えた空は爆発と閃光で埋め尽くされている。血のように真っ赤な空だった。
「は……? え、あれ? …………アイ、さん?」
あれ、確か自分がラビッシュと取引をして、魔術の記憶を失ったはずじゃ?
「晴! 千里が戻った。後退する!」
「分かった! 援護する!」
晴……?
ぴくりとも動かない手足。しっかりしろ! そう声をかけながら自分の体を肩に背負ったアイさんが戦場を走り抜けていく。その後ろ、おそらく晴はそこで戦っている。
「晴は大丈夫なんですか?」
「あぁ、あいつなら大丈夫だ」
「そう……ですか」
「それよりも、お前はまずてめぇの心配してろ」
「…………」
「おい、大丈夫か?」
「もう頭の中がぐっちゃぐちゃです。出来れば助けて欲しいです」
「はははっ。泣き言言えれば上等だ。帰ったら助けてやるから、今は目、閉じてろ。次目覚めるときはベッドの上にしておいてやる」
「…………はい」
違和感を覚えた。何かが足りないと、なんとなくそう思った。
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