第31話  カクヨム戦線異状あり6 『ノベル0』

「私小連隊長殿、遂に察知されてしまいました。敵はすぐそばにまで攻め寄せてきています。もう例の切り札を使うしか方法がありません」


 霧が完全に晴れてしまうと、次元破壊爆弾によって遮るもののなくなった戦場では、身を隠す術はなかったのである。


 私小連隊長は文豪軍曹に言われるまでもなく、それを使用する覚悟をしていた。


「防御システム『ノベル0』発動開始!」


 隊長の号令に基づいて、軍曹がシステムをオンにする。敵は今にも自軍になだれ込もうしていた。さて効果のほどは? 期待半分不安半分ながら、二人は敵の様子を注視する。


 すると不思議なことに、目の前にまで迫っていた敵はピタリと進軍を止めた。いくらもがいても、その場から前に進むことができないのである。


「これが『ノベル0』の威力なのか」

 二人ともその成果に、思わず感嘆の声をもらした。


 そう、新兵器研究所の防御システム『ノベル0』は、異世界人にのみに有効な絶対的なバリアなのである。

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