第30話  カクヨム戦線異状あり5 防御システム

「私小連隊長殿、前方の明かりは異世界侵略軍のようです。しかもかなり大軍です。幸い我が軍は、まだ察知されていないようですが」

 斥候からの知らせを受けた文豪軍曹は、隊長にそう報告をした。


「今我が軍だけでの遭遇戦はまずいな」

 隊長が呟く。兵力のはるかに劣るラブコメ軍としては当然のことである。


「でも隊長、一度敵に察知されてしまうと、あの大軍を相手に逃げ切れるものではありませんが……何か方法はないのですか」

「無いこともないが、あれはまだ実戦での実証がされていないので、どれだけ効果があるのかは分からないんだ」

 隊長は苦渋の表情を浮かべている。


「あれと言いますと?」

 軍曹が不審げに訊ねた。

「新兵器研究所が開発した画期的な新しい防御システムのことだよ」


「攻撃兵器ではなく防御システムですか?」

 軍曹は納得できないようである。

「いや、防御システムといってもバカにしたものじゃない。効能通りならとてつもない威力があるはずなんだ」


 結局、効果があるのか無いのかは分からないものの、今はそれしか方法がないということで二人の意見は一致した。

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