夢心地

 リルちゃんにひっついて、やわらかーい感触をたんのうしながら宿を探し歩く。

 成長途中のリルちゃんの胸は、大きすぎず小さすぎず、とてもかわいらしい感じ。

 顔をうずめてフニフニしたい。


 ベッドの絵が掲げられた看板を探し、キョロキョロしながら移動しているけど、道ゆく人間の視線が妙に気になる。

 ここが犯罪者の街だからか、男の比率が非常に多く、女の子が歩いているのが珍しいのだろう。


 でも、男どもの視線はわたしに向けられがちだった。

 かわいいかわいいリルちゃんを見られていたら、街を壊滅させてやろうかと思ったけど、そうでもない。


 あまりにもわたしの方が注目されるから、リルちゃんがわたしを隠して歩くようになった。

 そのぶん密着できて目出度い。


「あ、あれじゃない? 早く入っちゃおうよ」


 リルちゃんがいち早く宿屋の看板を見つけた。

 思ってみれば、わたしがキョロキョロしている時間の半分以上はリルちゃんに釘付けにされちゃってたから、周りの風景が見えていなかった。


「アリアをイヤらしい目で見てくるヤツらがいるし、部屋でゆっくりしよ」


 ゆっくり。

 部屋でご休憩……。

 リルちゃんが、二人っきりになろうって。


 ああなんてこと。

 すばらしい!

 リルちゃんから求めてくれるなんて、今日は記念日にしなきゃ!


「怖がらないで、私がついてるから」


 興奮して思わず腕をつかむ力を強めてしまったけど、リルちゃんが好意的に解釈してくれる。

 これは流れができている。


 いままでのジャマモノたちは、これから始まるお祭りの引き立て役だったんだ。

 下げて上げる…………焦らしプレイっ!

 やっほぅ!


「ごめんくださーい」


 リルちゃんが宿屋の扉をあけて、わたしをリードしてくれる。

 その何気ない気づかいに胸のときめきがっ♡


「いらっしゃい。……こんなところに若い女の子なんて珍しいわね」

「いやあ、色々あって」


 宿屋の受付には20代くらいの女。

 リルちゃんと会話をしているが、こいつも表の人間とおなじように目はわたしの方に向けられていた。


「とりあえず、部屋を貸してください。おカネはちゃんと持ってるんで、しばらく泊めてくれますか」

「あら、ここにくる人間なんて、たいてい無一文なのに。外でうまくやったのね?」


 犯罪者の街に住むのはみんな前科者。

 女将は当たり前のように、わたしたちの所持金を盗んだもののように言う。

 ビザールの屋敷から持ってきたものだから、実際そうだけど。


「私もリッパな犯罪者か……」


 リルちゃんがわたしだけに聞こえるようにつぶやく。

 さんざんひどい目に遭わされたんだし、別にわるくないと思うけど。

 盗んだんじゃなくて、戦利品。

 魔物を殺して肉を食べるのと一緒。


 欲を言えば、わたしは当主をもっと苦しめてから殺してやりたかったなあ。


「リルちゃんはいつも正しいことをしてるよ?」

「ハハハ……」


 しみじみとしているリルちゃんを元気づけようとしたけど、苦笑いで返されてしまった。

 リルちゃんは謙虚すぎる。

 そこがいいところなんだけど、もっと自分に自信を持った方がいい時も、あるんだよ?


「まあ、金があるなら何も文句はないわ。食事付きにする?」

「……お願いします」

「じゃあ可愛い新入りちゃんの歓迎も兼ねて、一泊あたりこれぐらいにしとくわ」


 提示された金額は、ふつうの街で泊まるよりもずっと安い金額。

 そもそも宿屋の料金はそんな高いものでもないのに、さらにそこから値引くことに意味があるの?


 でもリルちゃんは、見せられた金額を見て驚いていた。

 生唾を飲んでいるところを生で目撃してしまった。


「やった。いいところでよかったねアリア」

「うん!」


 リルちゃんが喜んでいるなら、それでいい。

 女将にお金をはらい、部屋の場所を教えてもらう。

 一階は食堂と女将の生活スペースらしく、わたしたちが泊まる部屋は二階だ。


 さあ、いよいよだね。


 本来の目的を達するときが来た……!


 わくわくしながら階段をかけ上がり、部屋の扉を開けはなつ。

 一歩遅れてやってきたリルちゃんを部屋に押し込んで、扉を閉じてかんぬきをかけ、二人きりの空間ができあがった……!


「リルちゃん……ここなら誰にも邪魔されないね……!」

「え、アリア? 目がこわいよ……?」


 かわいいリルちゃんにくっつくくらいに近づくと、リルちゃんは後ずさる。

 もうリルちゃんがいま何を思っているかなんて知らない。


 あいた距離をつめて、リルちゃんがもう一歩後ずさって、ベッドまで追い込む。

 リルちゃんの困ったような表情にそそられる。


 もう下がれなくなったリルちゃんをベッドに押し倒して、無防備になったその胸に向かってダイブ!


「すーはーすーはーすーはー!」

「やっ、アリア、嗅がないで……!」


 やべぇよ……!

 久しぶりのリルちゃんをキメてわたしの頭がトリップ。

 直リルちゃんは刺激がつよすぎて意識が飛んだよ……!


「……このぉ、いつもやられてばかりだから、仕返しだっ」

「はぐぅぅぅぅぅ!」


 リルちゃんがわたしの背中に腕を回して、力強く締め付けてきた。

 より一層リルちゃんの柔らかさが、全方位に感じる。


 リルちゃんのおっぱい!

 リルちゃんのおなか!

 リルちゃんのにのうで!

 前も後ろも右も左もリルちゃんリルちゃん!


 もうこのまま死んでもいい!


「アリアの髪、相変わらずさらさらだよね」


 わたしの頭の上をリルちゃんの手が這っていく。

 もうひとつ余計に感触があって、手の感触じゃない。

 この位置どりからすると、リルちゃんの顔……?


「はむっ」


 食べられたっ!

 リルちゃんに髪の毛、くわえられてる!


「ふふっ。手で触るよりアリアを感じるね」


 今日のリルちゃん!

 わたしを萌やし殺す気かっ!


 ドキドキが止まらない。

 顔がほてっている。


「よい、しょと」


 リルちゃんが姿勢を変えようとして、足を動かす。

 わたしの体重がかかっているから、思うように動かせないみたいで、もぞもぞと動いている。


 で。


 ちょうどよく収まるところを見つけたらしくて。

 リルちゃんの太ももが、わたしの大事なところに、チェックメイト!!


「——ん!? ——ぅ! ——〜♡」

「え!? アリア!? ビクンビクンしてるよっ?!」


 リルちゃんの猛攻に、わたしは少しも抵抗できずに、意識をかりとられてしまった。

 あーあ、参った参った。


 ヤる予定が、ヤられてしまったね——!

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