2017年7月10日「私たちの未来は」

 産まれてからそう遠い話じゃないわね。現実が始まったのは。

 過去があって、未来を信じろと言われた。どんなに受け入れがたくても。

 頭は空虚で、涙さえない。実感もない。私が生きてる理由をくださいって神様にお願いした。

 とどかない誰かに問いかけても無駄だから、ほんの少し、スネたりして。


 私たちの未来は、どうしろというの?

 本当、生きている実感がない。歩む先に何があるかも知らされてない。でもそれが現実だったりして……。

 勇気ふりしぼって、飛ばした風船。衛星つきまでとどけ!

 希望の種よ、あなたにとどけ!


 私たちの未来は、あなたにかかっている。とどかなくても、もう一度願いこめて送り出す。私だけの心の風船。

 どんな色をしていても、きっと見つけてくれると信じて、飛ばし続ける。大丈夫。大宇宙オオゾラには神様がいるって信じてる。

 厚みのある封筒、何枚も重ねた便せん。今日もポストにお願いして。

 笑っていてね。とどいてもとどかなくても、私はあなたを想っています。


 オモッテイマス……アナタヲ。

 それがどんな言葉でも、カタチでも、つづられた想いこそが真実だと、いつか知って、気づいてください。

 あなたが止まるまで、休まず追い続けるから。少しは待ってよ……。

 もうすぐ私らしく、強く笑える。そんな予感がしてる。


 ああ神様。運命の神様。私をからかったの?


 ふり向いたら、破いた封筒持って、笑いかけるあなたがいた。

「手紙、読んでくれたの?」

 真っ黒な肌に真っ白い歯をむいて、うなずいて……ああ、あなた!

 他に言葉もなくて、

「……!」

 やっとふり向いてくれた!

 まっすぐ飛びこんでいった私。その腕も胸もずっとたくましくなっていた。でもぬくもりはあのときのまま。


「俺、戦いにいくよ」

「どうして!?」

「決まってる。オマエのためだ」

「そんな! なら、行かないで!! 私のためになんて、行かないで!」


 涙、止まらなくて。

「だったら私も行きます! 連れて行って!」

 二人の未来のためなら、そうするしかないでしょう?

「おまえは残れ」

「いや!」

「愛してるんだ……だから残れ」

「そんなの私のセリフだわ!」

 キスして……。泣かせないで。バカ。いいえ、バカなのは私。出会いからこんなにせつない想いをしたことない。だからもう許して神様。この世界を二人だけのものにして。お願い。お願いします、神様――。もう離れたくない。涙しか、ない……。



               END

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