2017年7月9日「でも明日はくる」

 落ちこんでても仕方ない……よね。わかってる。

 天国のおばあちゃん、おじいちゃん。ううん、ほんとは……ツライ。すごくさみしい。


 三日放っておいたら金魚が死んじゃったみたいにアップアップしていた。

 

 そんなタマかよ。気にするタマかよ……あたし。本当にもう……ダメ、なのかなあ……。


 ベルが鳴った。あたしのじゃなくて、隣りの部屋のだれか。あたしは独り……。ひとりぼっち。


 友達と出かけたっていいじゃない。一人で映画を観に行って、こっそり静かに盛り上がって、泣いてくればいいじゃない。

 そうね、ならここにこうしてたって同じ。一人でベッドの上で端末いじって、なにかを忘れたくて。でも……堂々めぐり。


 かえりたい。今でないここでない場所で、息さえつけぬほどの幸福に包まれていたあの頃に。戻りたい……あなたと二人で。


 ドキ!


 画面に触れる指が止まって、目がくぎづけになる。やっぱり!


 ――今から、あえる?


 一言だけ。でも、やっぱり!


 ――愛してる。


 髪留めで長い髪をパチンと留めて、ちゃんとした上着も着て、チェックの傘をとり出して――あたしは安いサンダルなんて履かない! そう決めて――


 くるり、姿見の前で回った。



               END

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