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 映像がスタジオからライブ会場へと切り替わった。画面の左端に“LIVE”と表示されている。

『今だ興奮冷めやらぬライブ会場の前にいます!』

 中継先のイケメンキャスターがニコニコと笑顔でマイクを握っている。その後ろには会場から出てきたであろう多数の人が見えた。きっとその中の一人に彼女が居ているはずだ。

 俺は正面のキャスターを無視して背後に視線を送る。彼女が『いってきま~す』と送って来た盛り盛りの自撮り画像には、少し大きめなピンク色のリボンが結ばれていた。もちろん可愛いことには変わりないのだけど。

 キャスターは通りすがりの人を捕まえては、ライブの感想を訊いていた。

「もしかして声掛けられていたりして」

 なんて、彼女の事を想像する。もしインタビューをしたらきっと顔を真っ赤にするのだろう。彼女は照れ屋なのだから。

『では最後にもう一人、お話を聴いてみましょう』

 キャスターがきょろきょろと顔を左右に動かして、誰かを見つけたような表情をした。

『あ、あの! お話し聴かせてもらっていいですか?』

 声を掛けられていたのは、俺より少し年下のなかなか綺麗なイケメンだった。男の俺から見ても恰好が良い。

 彼は今日のライブの感想を訊かれて、つらつらと答えた。

『今日はどなたといらっしゃったんですか?』

 ライブの感想が一通り終わると、キャスターが彼に向かって訊ねる。

『あぁ』

 そう言った彼の隣にカメラが流れるように動く。一番初めに目に入ったのは――

「ふぇ」

 ピンクのリボン。

『彼女と来ました』

『えへへ』

 クリクリな瞳、小柄で小動物を感じさせる身体。照れて赤い顔、笑うと見えるえくぼ。

 男と腕を組んでいるのは、明らかに間違いなく恐らくではなく確かに、俺の彼女だった。

「はぁああああああああああああ!?!?!?!?」

 おいおいおいおい、ちょっとまてちょっとまて。何が起こっている? え、何何、ドッキリ? これドッキリ? 嘘だよね? 友達って、友達だよね? ね? そうだよね?

 ぼとり、と持っていたアイスが床に落ちる。手に残ったのは棒だけだった。

 うそだよね?

 友達とライブ行ってきますって! なんだよこぇぇぇ!! 友達(じゃねぇ奴)とLIVEされてんじゃねぇよぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!

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