3ページ
映像がスタジオからライブ会場へと切り替わった。画面の左端に“LIVE”と表示されている。
『今だ興奮冷めやらぬライブ会場の前にいます!』
中継先のイケメンキャスターがニコニコと笑顔でマイクを握っている。その後ろには会場から出てきたであろう多数の人が見えた。きっとその中の一人に彼女が居ているはずだ。
俺は正面のキャスターを無視して背後に視線を送る。彼女が『いってきま~す』と送って来た盛り盛りの自撮り画像には、少し大きめなピンク色のリボンが結ばれていた。もちろん可愛いことには変わりないのだけど。
キャスターは通りすがりの人を捕まえては、ライブの感想を訊いていた。
「もしかして声掛けられていたりして」
なんて、彼女の事を想像する。もしインタビューをしたらきっと顔を真っ赤にするのだろう。彼女は照れ屋なのだから。
『では最後にもう一人、お話を聴いてみましょう』
キャスターがきょろきょろと顔を左右に動かして、誰かを見つけたような表情をした。
『あ、あの! お話し聴かせてもらっていいですか?』
声を掛けられていたのは、俺より少し年下のなかなか綺麗なイケメンだった。男の俺から見ても恰好が良い。
彼は今日のライブの感想を訊かれて、つらつらと答えた。
『今日はどなたといらっしゃったんですか?』
ライブの感想が一通り終わると、キャスターが彼に向かって訊ねる。
『あぁ』
そう言った彼の隣にカメラが流れるように動く。一番初めに目に入ったのは――
「ふぇ」
ピンクのリボン。
『彼女と来ました』
『えへへ』
クリクリな瞳、小柄で小動物を感じさせる身体。照れて赤い顔、笑うと見えるえくぼ。
男と腕を組んでいるのは、明らかに間違いなく恐らくではなく確かに、俺の彼女だった。
「はぁああああああああああああ!?!?!?!?」
おいおいおいおい、ちょっとまてちょっとまて。何が起こっている? え、何何、ドッキリ? これドッキリ? 嘘だよね? 友達って、友達だよね? ね? そうだよね?
ぼとり、と持っていたアイスが床に落ちる。手に残ったのは棒だけだった。
うそだよね?
友達とライブ行ってきますって! なんだよこぇぇぇ!! 友達(じゃねぇ奴)とLIVEされてんじゃねぇよぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます