俺の可愛いりぼんチャン

カゲトモ

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 ずるるるるる。

 小さな部屋にカップ麺を啜る音が響く。金曜の夜。所謂、花金に俺は一人しょうゆ味のカップ麺を手にしていた。

 俺の相手は付けっぱなしのテレビだけ。生放送の音楽番組を見るともなくただ眺めながらちゃぶ台の前で体育座り。

 そんなちゃぶ台の上には一枚の紙。特徴のある少し丸みがかった文字が記されている。

《友達とライブに行ってきます♪》

 彼女の置手紙だった。確か、人気のロックバンドのライブだったはず。倍率の高いものらしく、入手困難なチケットを友達が奇跡的にゲットしたとか何とか。

俺はロックとかライブとか興味がないから、友達と楽しそうに出かけていく彼女をみてどことなくホッとしていて、嬉しそうな彼女の顔を見るだけでこっちも嬉しくなってくる。

毎回毎回、彼女に付き合ってくれている友達には申し訳ないけど、一緒に行ってあげられないから、その友達にはとても感謝している。

一度、それを彼女に言ったことがあった。

『友達もそのバンドが好きだから、一緒に行ってくれて逆にありがとうって言ってたよ!』

 その言葉を聞いて俺はその友達にさらに感謝した。

 年下の彼女は、少しだけ抜けてて少し子供っぽくて、社会人になって少し落ち着いたけど、まだまだ女の子らしいピンクが好きで、リボンが好きで。目がクリクリっとしていて、笑うとえくぼが可愛くて、小柄で、本当に小動物みたいな子だ。

付き合って五年になる。同棲して二年が経った。今だに行ってらっしゃいのチューもするし、ラブラブだと自負しているし、俺は彼女が心底好きだ。

 本当は今日だって飲み会の予定だったけど、夜遅くに帰ってくる彼女が心配で結局キャンセルしてきた。そして一人カップ麺を啜っているという訳だ。

 全然寂しくないし、むしろこうやって待っている時間も嫌いじゃない。

 早く帰ってこないかな。

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