タイムリープ夏休み

俺、浅倉光は自転車をこいでいた。

今俺は気分がいい。

今から友達の家に遊びにいくからだ。

俺は人の上に立つ者だった為、そういったことは珍しくはない。


明日は夏休み……。

何も考えることなどなく遊べる。


はやく家につかないかななどを考えながら、瞬きをして目を開いた瞬間。

周囲が教室へと変わっていた。


「……は?」

見慣れない服装は、中学校のためであろう。

中学校のときにタイムリープしたかのように、身長も、制服も、性格が変わってしまったあの子ももとに戻っていた。


「……おい、光ッ!?聞いてんのか?」

「わ、悪りィ、何の話だ?」

「だから、土下座して謝れっつってんだよ」


…………何だと?


急に中学生に戻ったかと思ったら、俺は何故か怒られている。

何かしでかしたのか?

しかも目の前には俺の従者だった守がいた。


「なんで俺がそんなこと…。てか守お前、いつからそんなに偉くなったんだよ。」と、言おうとしたが、俺の口からはそんな言葉は出なかった。


「ごめんなさい、許してください。」


そんな、間抜けなことしか発せなかった。

「地べたに頭擦り付けるんだよ!」


「ごめんなさい、ごめんなさい……」


俺の体は自然に動いて、殴って、けられての最悪な刑罰を受けた。


なぜだ?…思い通りに動かない……。

俺の中学校時代は薔薇色だったハズだ。

みんな俺にペコペコし、俺が上に立ち、みんなを見下していた。



しかし今はどうだ?

違う世界にでもいるのか?



俺は、吐いた。

気持ち悪くて吐いた。


「うわっこいつ吐いたぞ」

「汚ねぇッ」


もうなにがどうなってもいいから、この悪夢だけは覚めてくれ。


溢れる涙を拭き取って、目の前を見ると。


「楽しめたか?夏休みー!」


「…はぁ?」


目の前には、終わった夏休みがあった。




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