私の世界
カゲトモ
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神様って、きっと太陽のように暖かくて、月のように穏やかで、風のように心地よくて、雨のように慈悲深く、地震のように怖い人なのだと、私は思う。この四角く区切られた真っ白な部屋で私はいつもそう思って窓の外を眺めるのだ。
『神様なんていない』
母は神様を信じていないようだった。いつか、いいやあの時は私がひどく容体を悪くして救急で運ばれた時だった。まだ五歳にもなっていなかった私が病室のベッドで気が付いた時、父に肩を抱かれた母が涙をポロポロ零してそう口にしていた。
今まで何度も口にしてきたのかもしれないけれど、母のその言葉を聞いたのはその時が最初で最後だった。きっと私を悲しませないためだ。
神様がいないから生まれつき心臓病を患っていた。
神様がいないから長く生きられない。
神様がいないから私は可哀相。
私は私が可哀相だなんて、一度も思ったことがない。可哀相な事があるもんか。いつだって優しい両親が傍に居てくれるし、ずっと病室にいているのは退屈だけど病棟に友達もいるし、看護師さんだってみんな優しい。それに、最近年下の友達が出来た。
私の人生が短いからかな、だからこそ神様はこうして私が笑顔でいられる世界を用意してくれたんじゃないかと思う。
だから神様は絶対にいる。そして私たちを見守ってくれているのだ。
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