第8話 宇宙ステーション格闘技場にて

 カンカンカーン‼ 試合終了の鐘が鳴り響いた。

「優勝者はハリー、史上初の5連覇を達成しました!」

 ハリーは最終7ラウンドで何とかTKO勝ちをした。壮絶な戦いで、ハリーの顔は腫れあがり全身傷だらけだった。

「よくやったハリー。もうこれで格闘技はやめて引退しよう」

 セコンドについていた谷博士は複雑な表情で声をかけた。いくら自分の口腔細胞から創り上げたクローン人間とはいえ、危険な格闘技をさせることに嫌気がさしていた。谷博士は賞金目当てと自分のクローン遺伝子技術を確認したいため、時間をかけてハリーの改良を続けていた。

「博士。俺はこれからどうすればいいんだ」

「すまなかった、もう戦わなくてもいい。、どこかの宇宙都市で静かに暮らそう」

 その後谷博士は自分の研究所を閉鎖して、ハリーのクローン技術データをすべて消去した。二人は行き先を告げず、宇宙ステーションを後にした。

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