第6話 全国大会
季節は流れて、夏の残り香がようやく取れさった9月中旬
吹奏楽部は全国大会出場の為に最後の追い込みに入っているらしく、
放課後になると決まってワンフレーズのやり直しや
演奏する曲が何度となく流れてくる。
ミツキも相当頑張っているようで、朝教室に来ると
「肩いたいー、揉んでー」とせがんでくる
そして、遅くまで全体練習に付き合うために
一緒に帰れない日が続いている。
10月20日、全国大会出場へ向けて楽器が搬出されるとの事で
微力ながらお手伝いすることになった、
吹奏楽部の全国大会出場とあって
校内から運動部が手伝いに来ていたので
ほぼほぼやることは無かったのだけれども。
もちろん、今回のこんなにおめでたい事
現地で応援をしないわけにはいかない。
全国大会の舞台は、名古屋国際会議場
応援をする為に、そして自分の告白をしっかり決める為に
1人で名古屋へと向かうことにした。
10月20日、全国大会本番当日
会場は張り詰めた緊迫感が支配している
学校の出場順番は19番目だと言う
演奏前に、会えないかとメールすると
すぐにロビーへ出てきてくれた、時刻はまだ午前中で
出番は午後との事だけれども、かなり緊張している
「どう?だいぶ緊張しているみたいだけど
落ち着いてきた?」
「落ち着くなんて....無理だよ~。
だって全国大会だし!しかも私学指揮だよ!?
ほかの所で学指揮なんて殆ど居ないし!
あ~、どうかうまく行きますように!!」
「あのさ、美月こんな時に言うのも何なんだけどね
前々から、ずっとずーと伝えたかったことがあるんだ」
「え、ううん。
実は私も前からずっと伝えたいことがあったの。」
会場のアナウンスが大会開始の合図を告げる
「プログラム一番
宮城県代表松岩高等学校吹奏楽部、
課題曲4番 に続きまして自由曲 スター·パズル·マーチ
指揮は松永 清美です」
「あっ!ほら、始まる。」
会場を映すテレビモニターから音が流れ始める
うちの学校とはまた違う曲が鳴り響く
それを緊張して見守るミツキ、華やかに曲は始まって
段々と静かになり、再び盛り上がる
マーチという名の通り軽やかに弾むステップのメロディーを刻みながら演奏は続いて、流れるような間奏に入る
そして、全ての楽器がその音を鳴り響かせて曲が終わった
「スゴイ.......」
「うん、スゴイ.......ね。」
言うなら、ここしかないと思って
今まで、ずっと伝えきれなかった思いを言葉にする。
「あのさ!ミツキ。おれ、俺はお前の事が好きなんだ!」
「あ、先言われちゃったなぁ......
実は私もハルトの事がずっとずーと好きでした!」
テレビモニターからは最初の学校の自由曲が流れ始めていた
華やかで壮大なファンファーレに続いて、誰もがよく知る
キラキラ星の変奏曲のマーチが。
15cmの速度 小海 @c56koumi
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