私の本当の恋

@taberu029

第1話

私は東京の専門学校に通う19歳。




入学してからもう、今年で2年目になり、卒業が近づいているにも関わらず何一つとして自分が変わっていないことに焦りを感じている。



いつからだったか。



クラスメイトの「荒木」という女の子を可愛いと思うようになった。


笑顔が素敵だし、その子と話をしていてとても楽しくて。




可愛いと思う頃には、もう好きになっていたのかもしれない。




気づくのが遅かった。 とても。




その子への普通ではない感情に気づいた頃にはもう、彼女にのめり込んでいた。











怖かった。










この感情がいつバレるか、怖かった。




普通ではないこの感情が。




友達としてのこの楽しい生活を失くすのが。




ただ、それと同時に、この思いを抑えきれなくなっていた。



ただただ伝えたくて。



でも、やっぱり怖いから蓋をした。自分の思いを閉じ込めた。




そんなある日、電話をしている時

荒木に言われた。






荒木「クラスで付き合うとしたら、誰?」






正直苦しかった。何故そんなことを聞くのか、なんで、なんでなんで。

困惑だった。どう答えていいのかわからなかった。





私は




「哲也くんかな」










嘘をついた。








荒木「ふぅん……






















……ホントに?」









心臓がはねた。



恐怖だった。



不思議だった。





何故、本当にと聞く必要があるのか。





私の中には、微かな希望が浮かんだ。





(もしかしたら、荒木も…………)





そう思って、私はおチャラけながら聞く。









「荒木は?誰なのさ」










心臓がさっきより速くなった気がした。


私は荒木の返事を待った。


しばらく考えたあと、彼女は言った



































「貝原くん、かなぁ。常識人っぽいし」













「ハッ」





つい鼻で笑ってしまった













そりゃそうだろう。男がそりゃ、いいだろう。人間として当たり前だろう。




そう、自分に言い聞かせながらも涙が零れそうになった。





私ではなかった。





ただただ悲しかった。





しばらく黙り込んでいると、彼女が喋り出す。






荒木「さっきのホント?」







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私の本当の恋 @taberu029

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ