第二十話◆好矢の一撃
キィンッ!キンキンッ!剣の音が木霊する、戦闘フィールド。
ガブリエルの一撃一撃は重いものの、武器もその分重い。そして好矢の刀は非常に硬く、ガブリエルの両手剣が簡単に弾かれてしまう。
先ほどのソフィナの風魔法により、Aチームの学生は全員、動きが早くなっていて、好矢の剣技の足捌きも非常に早くなっている。
それでも、攻勢に出られるガブリエルは、両手剣を使い慣れているのだろう。やはり強い。
他の四人も普通に戦っており、ロサリオはアデラにより創られてしまっていた自分の足の氷を、得意属性の火属性魔法で溶かし、動けるようにする。
続けて、アデラはつららを飛ばしてきたが、ロサリオはそれを回避し、アデラの足元から炎を出現させ、アデラは爆炎により吹き飛ばされる。
ロサリオも中々に魔力が高いようだ。
レメディオスは、ソフィナの足元に土魔法で石や岩などをゴロゴロ落として行く手を阻んでから、
(光ま法……ガブリエルの後ろに強い光……ヨシュアを目くらまし……)「発動ッ!!」
ガブリエルの後頭部の少し横から強い光が現れ、その光は好矢の目に直撃した。
「うっ…!!」
「そこだぁぁッ!!」
ガァンッ!!好矢は横薙ぎの剣撃を思い切り食らってしまった!
実際だったら斬られているところだが、戦闘フィールドに張ってある防護魔法で、斬られることはなく、非常に強い衝撃が身体を襲った。
数メートル吹き飛ばされ、戦闘フィールドの壁に激突した。
好矢の土属性の障壁は剣撃一瞬で破れ、さらに耐久度ゲージを削る。そして、壁に激突してさらに追加ダメージが入り、
Aチームのゲージは一気に四割削れてしまった!
「まずいっ!!」アデラは土属性魔法を再度かけようとするが、ロサリオに邪魔されてそれが出来ない。
「発動!!」突然ソフィナが叫んだ。
好矢に金属属性の障壁が創られた!しかし、障壁は刀に張られていた!
「好矢くん!その障壁は詠唱待ち状態にしてある!危険になったら使って!!」
「ありがとう!お前はレメディオスに一泡吹かせてやれ!」
「分かってる!」
そう言って、二人はそれぞれの相手へ駆け出す。
(かみなり……天からむすうに降り注ぐ……)「発動!!」
ドドドドドドドド………!!!
今度はレメディオスに集中的に雷攻撃を食らわせていく。
徐々に魔法障壁に亀裂が入り、ついにレメディオスの魔法障壁が割れた!
使用する魔力は多くしておいたものの、レメディオスに永続的に降り注ぐ細い雷光。一発当たりの威力は低い。
……とは言っても、雷であることには変わらないので、確実にダメージを与えられ、さらに強い衝撃から詠唱に集中が出来ず、
レメディオスは事実上の行動不能へ陥った。
その間も、ソフィナはレメディオスへの雷攻撃に追加魔力を注ぎ込み続けていった。
アデラは、ソフィナが好矢に金属属性の障壁を掛けたのを確認していたので、ロサリオの相手に集中することにした。
(もえさかる
「キャァッ!!」「ヒイィッ!!」アデラとロサリオは同時に奇声を発した。
アデラはギリギリのところで火球を回避したが、ロサリオの背中にはしっかりと冷気が突き抜けていった。
(今のほのおを氷で包む……ロサリオの正面へはっしゃ!!)「発動ッ!!」
アデラはそのまま火球を包んだ
魔法の想像力では何でも出来るからすごい。ちなみに、このような非科学的なことは、アデラの専売特許のようなもの。
他の学生が真似しようとしても、中々出来ることではなかった。
そして先ほどの氷魔法の首筋攻撃に怯んでいて、氷球が火球を包んだところを見ていなかったロサリオは、ただの氷球を飛ばしてきたと勘違いした。
(こおりを溶かす、きょうりょくな炎のかべ……俺の前に……)「発動ッ!!」
ゴウッ……!!
ロサリオの前に炎の壁が展開されるのと同時に、氷球は着弾した!
そして、氷は溶かされ、炎の壁の中へと消えていった……そして、中に入っていた火球は、炎の壁を突き破るということではなく、
炎の壁を巻き込んで、攻撃対象であるロサリオの眼前で巨大な火球と化し、発射時と同じ速度を保ったまま、ロサリオへ直撃した!
――ロサリオは、予期せず疑似的な魔法バフを成功させていたのだ。
皮肉にも、攻撃対象は自分だったが……。
そして直撃と同時に、強烈な爆発が起こり、戦闘フィールド全体に強烈な衝撃波を引き起こした!
その衝撃波は、レメディオスがソフィナの足止めの為に出現させた石や岩に当たり、その石が好矢とガブリエルの方へ飛んでいく!
ガンッ!!
中々のサイズの石がガブリエルのこめかみに直撃した!
「うわっ!?」「隙ありッ!!」
好矢は、一瞬怯んだガブリエルの胸部へ強烈な右袈裟斬りを繰り出した!
レメディオスのミスによって魔法障壁しか張られていなかったガブリエルは、刀の斬撃という物理攻撃をBチームの障壁で防御した!
そしてBチームのゲージは一気に四割削れた!
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