第十一話◆居候

「えっと……」イスから立って、4人の元へ近付く。

「ヨシュア、どうだった?」アデラに聞かれる。


「得意魔法属性が植物で、使えない魔法が火と闇みたい」と言うと、ガブリエルが反応した。

「使えない魔法属性は言わない方がいい。何かしらの対策を立てられてしまうからな」これに対して、なるほど。と思った。

「でも、火と闇以外の魔法は全て使えるのか?」

「うん、そうみたい」


その後、ソフィナが自信あり気に口を開いた。

「で、肝心な魔力の数値はいくつだったんだ? 282とか言ってた気がするが……」

「あぁ、それは見間違いでさ。えっと……783……」


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「……あれ?」

 ……ソフィナとアデラの時が止まっていた。

 ガブリエルとファティマは信じていない様子だった。だが、すぐに本当だと証明することが出来た。係員がやって来て、あるものを渡してくれたからだ。


「ヨシュアくん、これが今回の分ね」そう言って係員さんは、キャッシュカードのような材質とサイズのカードを渡してきた。

 そこには、先程見た、好矢の能力値が書かれていた。


 4人ともそのカードを見て、信じる気になったようだ。

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「ハァ…………」帰路について5分も経たずに6回目の溜め息をついていたのはソフィナだった。

「どうした?」と声を掛けても「私が一番だと思ってたのに……」としか言わない。

 どうやらバグっているようだ。


「そんなこと言うけど、女子の中では一番すごいんだろ?」と言うと、今度は「慰めてるつもりか!?」と半ギレで返してくる。

 どうしたら良いんだよ……。


 ちなみに、好矢とソフィナが一緒に帰るのには理由がある。ソフィナの家に居候することになったからだ。


 事の顛末は、シルビオ学長が寮を用意するつもりで、敢えて住む場所については何も言わなかったそうだ。

 だが生憎、好矢はカバンと教科書と葉っぱで包んだ袋しかない。

 お金なんて一銭も持っていなかった。家賃が払えないのだ。さらに、仮に家賃が払えたとしても、寮はいっぱいで誰も入居することができなかった。

 それくらい把握しておけ! と本人に怒鳴りたいところだが、またピキると怖いから言えなかった。


 そういう事情になった。という話をソフィナに話すと「ウチは近くだし、今日は誰もいないから問題ない。それに空き部屋があるぞ!」と言ってきた。

 誰もいないのはすごく問題だったが、野宿するのも嫌なので、厄介になることになった……というわけだ。


 家に着くと、さっそく空き部屋に案内してもらった。4LDKの一軒家だった。部屋一つ一つが目算でおよそ十畳ほどもあり、かなり広かった。

 案内された空き部屋に荷物を下ろしリビングへ向かうと、ソフィナが青いリンゴを食べていた。


「これ、キミが持っていたんだけど、美味いな」


 いつの間に盗んだんだよ……。


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