第九話◆新たな友人

 約2コマ分の時間が空き、夜にパーティ毎の顔合わせをすることになった。その2コマ分の空き時間、ソフィナに呼び出された。

「好矢くん、私の友人を紹介するぞ。左から、アデラ、ガブリエル、ファティマだ。この三人以外とは、あまり話したことはない」

「話したことすらないのか……あ、俺は刀利 好矢だ」すると、紹介された順番から、ちゃんとした自己紹介をされた。


「アデラ・エイジャーよ。氷魔法を一番の得意としているの」赤髪のボブヘアーのとてつもなく……それはもう、引くほどかわいい女の子だった。

 ……が、あまり顔を見て鼻の下を伸ばしていると、気持ち悪がられる恐れがある為、ポーカーフェイスで無関心を装った。もちろん内心はニヤニヤしている。


「俺はガブリエル・グラスプール。金属魔法を主に使う」青髪短髪の男性だ。体型はガッシリした感じで、魔導士っぽさは欠片もない。そして中々カッコイイ顔をしている。


「ファティマ・ソーンです。無属性魔法を使います」この人は特にこれと言った特徴は無い。ボディラインがハッキリしていること以外は。


「そして、好矢くん。私とアデラとキミの三人が、今月末の模擬戦のパーティだ」ソフィナが唐突に言い出した。


 するとガブリエルが言った。「トール、お前運が良いよ。ソフィナと組めば優勝間違いなしだろうからな!」

 そうなのか……つまりソフィナは、かなり強いということだろう。

「ところで……」ファティマが口を開いた。「トール・ヨシュアって名前……ヨシュアの方が名前で、トールが名字に聞こえるんだけど……合ってる?」

「あぁ、そうだ」と答えると「じゃあ、ヨシュア・トールと名乗った方が良いですよ。みんなそう名乗ってますから」と言われた。


 この世界の人達は、時々外国人のような彫りの深い顔がいるものの、大多数は日本人のような彫りの浅い顔だった。

 それに加え、日本語が通じるので、マイ ネーム イズ ヨシュア・トール! とか変なことは口走らず、日本にいる時のような自己紹介をしてしまっていた。

 たしかに、みんな名前から先に名乗っている。……それにしても、日本人らしい顔でカタカナの名前とは変な気分だ。イタイ奴を見ている気分になる。


「分かった、次からはそうするよ」好矢はとりあえずそう答えた。

 続いて、ソフィナはガブリエルに話しかけた。

「ガブ、好矢くんに装備を造ってやってくれ」

「あぁ、いいけど……どんな装備がいいんだ?」と、今度はガブリエルが俺に聞いてきた。


「どんなのが良いんだろう?」とそのまま返してしまう好矢。


「そういえば、自己紹介の時に得意魔法言わなかったけど、トールの得意魔法って何なんだ?」

「あぁ俺、魔法の使い方わからないんだ」


 今度はソフィナが言った。

「先程、シルビオ学長から言われたのだが、好矢くんは非常に高度な魔導語を使いこなせるらしい。魔導語の扱いにおいては、私よりもずっと上だとか……」

「「「えっ!?」」」ソフィナの友人三人は同時に声を上げた。


 ソフィナがそう言って、魔導語を書いた紙を見せてくれた。

「わたしは、国立魔どう学校トーミヨの二学年次のがくせい長、ソフィナ・ヨエル。得意魔法は、かみなりぞくせい。21さいだ」

 小学生が頑張って書いた感じの日本語に見えた。上級言語の漢字が使えないと、強い魔法は使えないということか……

 ソフィナはその紙を俺に手渡し「好矢くん、これを上級言語で書いてみてくれないか?」と言ってきたので、その下に書いてやった。

「私は、国立魔導学校トーミヨの二学年次の学生長、ソフィナ・ヨエル。得意魔法は、雷属性。21歳だ」……と。


「す、すご……」アデラが呆然とした顔で見ていた。止めてくれ、逆に恥ずかしいじゃないか。

 日本で21年も生活していれば、今の言葉くらい書けて当然だ。


「じゃあ好矢くん、キミの凄さが皆に伝わったところで、魔法館へ行こう」



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