第17話 今の私の帰るべき場所


母は私が事件を起こしてから、精神が崩壊していた。


母は本家から追いやられ、別荘で療養している。時々何かをきっかけとして私を思い出す。私のせいでおかしくなってしまったのに、母を置き去りにした娘を。このときばかりは私以外手をつけられない。




27回。




私が母に叩かれた回数。通算回数。

この数が多いのか少ないのか私には判断できない。それは、母が決めること。


母を裏切った私が負った罪。


好き勝手していることへの罰。


罪と罰の永遠ループ。でも、それでも私は命を与えてくれた人へ罪を犯すことをやめない。





そんな私と母との違いは命への貪欲さ。私は生きたい。母は自殺を繰り返す。

それでも、私も母も同じベクトルの上を歩んでいる。それは間違えようのない事実。





背後から近づいてくる人影。気づかない馬鹿がいないってほどに足音をたてている。

「わっ!」とかいっている。ビックリさせたかったようだが、無表情で目の前にある資料に目を通す。


「お兄ちゃん、ねぇ。ねぇ、ってばっ!」


脳が働かなくなっているのに、頭を揺らされ、胃から何かが込み上げてくる

感覚を感じる。


嫌な顔をしてやる。とどめの一言。


「帰ったのか。お帰り、未來」


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