お陰を持ちまして。

水田真理

一章 この世界で生きて行く。

第1話 てぃんくる


東京都の夜は、星が地面に落ちてきたみたいにキラキラしてる。きらきら星の鼻歌を歌いながら、横断歩道のしろいとこだけを踏んで駆けて行く。風のように駆けてるわけではなく、ピアノの鍵盤の上を踊っている指先のようだ。




駆けて行く少女の名は桜田未來(さくらだ・みらい)。どこかのアイドルグループに所属しているのではないかとおもわせるような異彩を放っている。




「ねぇ、こんど映画見にいこうよ。俳優くんの出てる王様とマンゴーみたい!、、、え、、なんで!いいじゃんいいじゃんなんでダメなの!?意味分かんない!!!」彼女は、まるで誰かに話しかけるように喋っている。一度立ち止まり、今度はスタスタと歩いて行った。




「ちょっと君っ!!待ちなさい」と誰かが話しかけている。




「ばっかじゃないの。今更許してもらえると思った、ら、、、、、。」と振り返ると急に声をつまらせた。




しまった!心の中でそうつぶやいた。




「警察だけど、君高校生だよね?今何時かわかってる?交番まで来てもらうよ。」




時刻はまもなく12時。




二人の警官に声をかけられ、にげようかとも思ったが、今日はおとなしくついていくことにした。

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