幼年期編

第4話 目覚め〜Reincarnation〜

眩しい……もう朝か。本の読みすぎか変な夢を見ちまった。それにしてもリアルな夢だったなぁ。


瞼に光を感じながら寝返りをうつと布団の柔らかな感触と日差しを浴びた清潔な香りに二度寝を誘われる。


仕事行きたくねぇなぁ……このまま寝ていたい。布団は柔らかいし、いい匂いだし…………柔らかくていい匂い?!


眠気が一気に覚めていく。独身一人暮らしの大和は大多数の独身男性達の例に漏れず、万年床の煎餅布団、天日干しは月に一度あるかないかだ。


恐る恐る目を開けると、見慣れたオンボロアパートではなく綺麗な天井と吊り下がっているオモチャが視界に入ってくる。


……知らない天井だ……なんて言ってる場合じゃない! まさか夢じゃなかったのか?!


一瞬フリーズしかけた脳を焦りながらもフル回転させて現状を把握しようと辺りを見回してみる


天井が高いし、オモチャが下がってる。手足が小さいし周りには柵……うん。これは赤ん坊だな。間違いなく……えぇぇぇぇ!!! マジかよどうしよまさか本当に転生するなんてあんなんフィクションだろ! どうしてこうなったあの女神のせいか!! いや選んだのは俺か! でも女神様めっちゃ美人だったなぁ……よしよし落ち着け落ち着け。取り乱してしまった。焦っても仕方ない。ふー。


そうこうしていると扉が開いて女性が入って来て何かを言いながら微笑みかけてくる


この人が母親なのかな? 何故か安心する。でも母親にしては若くて美人だなー。金髪で睫毛も長い……人形みたいだ。何を言ってるかサッパリ解らないが、これがこの世界の言葉なのかな?


彼女は不思議そうにしているのが解ったのか、クスッと笑いながら小さく呟くと


おぉ! 何か呟いたら触れてもいないのにオモチャが回り出したぞ! まるで魔法……うぉぉ俺も魔法使いたい!


魔法を見て目を輝かせている大和を見るや、微笑みながら額にキスし抱き上げてくれた。


知らない言葉……魔法……本当に異世界に来たんだ。ここで俺の新しい生活が始まるんだな。 まずは色々学ぶことからだ。これだけテンプレファンタジーな世界なら魔物もいるだろうし身体も鍛えないと…………でも……まずは……この心地よさに負けてしまおう……。


暖かな陽気のせいか、母親に抱かれた安心感か、再び睡魔に襲われ、やがて眠りに落ちてしまった。

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