橋
橋の途中で会えるようにと
家を出るときには晴れていた空に向かって
過ぎ去っていく人を
気にしない素振りの流し目で
鼓動の激しさが僕の体温を下げて
少し個室に入りたくなった
君を呼びつけたのは僕の方なんだけど
どうしても不機嫌に映ってしまう
君に話があるのは僕の方なんだけど
君は僕より先に話し始めようとする
今まで気にもしなかった
手すりの模様で自分を収めた
クラブ帰りの自転車たちは
今の自分を知る由もなくて
大人になったぶん弱くなった僕は
誰も守れないのだろうか
君に会いたかったのは僕の方なんだけど
地団駄が鳴り止まない
君を笑わせるのはいつも僕の方なんだけど
今日ばかりはそうもいかない
明かりの灯る橋の真ん中で
引き返すのか渡りきるのか
この夕焼け空を見上げたら
雲はどちらに流れるか
その行き先に
家路を急ぐ人たちが
そして僕が来た道に
いつかの二人の後ろ姿が
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