通勤途中

タイルの淵を流れた水に

朝の気だるさと抜けた髪の毛が絡まった


半分空のベッドから

真っ白な足が羽毛布団と連なった


未来がどうなるか考える前に

今日どうするか考えろ

右と左を見る前に

鏡の中でケリをつけろ


そういうお前はできるのか

そう言いながらもできるのか


街の香りが変わってきたよと

君の口から言葉が聞こえた


そして今夜も来るからと

靴が頭で鳴っていた


誰かを変えるためならば

僕から変わらなきゃいけない

手と手を握り合う前に

その手を綺麗にしておけよ


そういうお前はできるのか

そう言いながらもできるのか


交差点の手前から

黄色いライトが見えてきて


体を包む街の香りが

僕の足を止めさせた


奇跡などないという人を

少しどうかと思う

毎日の成果がそれなりに

いい奇跡なんだって


そういうお前はできるか

そう言いながらもできるのか


君からもらったLINEには

君が見つけた花の写真が


僕が送るLINEには

僕が固めた決意のかけらを


イヤフォンからはランダムに

昔聴いてた曲がつらつらと

当時の僕に言いたい

今朝の僕が吐き出した言葉を


そういうお前はできるのか

そう言いながらもできるのか

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