№255

 最初は5歳の時。仲良しの幼なじみの家とプールに行った後です。遊びまくって、幼なじみの家によって、アイスを食べたら眠たくなって俺達は昼寝をしました。目が覚めたとき夕方になっていました。ぼーっとしていたら

「明日、男が流されるよ」

 と幼なじみがしゃべったんです。振り返って見たけど、そいつは寝ていたから、なんだ寝言かってその時は気にしませんでした。

 でも次の日に集中豪雨が降って、いつもは水がない近所の川が増水し、足を滑らせた男子中学生が流されて亡くなりました。それを聞いても、当時はちょっと変な感じはしたけど、特に結びつけませんでした。

 次は小学校の修学旅行の時。6人部屋で部屋の電気を消して、懐中電灯を付けて見回りの先生にばれないようにコソコソ話し込んでいました。その時同じ部屋にいた幼なじみが

「先生が橋から落ちるよ」

 と何の脈絡もなく言い出したんです。驚いてそいつを見たけど、寝落ちしてて寝言だったんです。皆笑っていたけど、俺はふと子供が流された事を思い出していました。

 それで、修学旅行中に観光地の橋の上から先生が落ちて亡くなった。俺達の目の前で。ゾッとしたし、あんなあっさり人が死ぬとは思わなかったよ。幼なじみの寝言のこと、同じ部屋の奴はなんとなく気付いていたけどあんまり口にはしなかった。だけどどっかで思わず話しちゃった奴がいたんだろうな。じわじわと噂が広がっていった。本人は寝ていたから一体何のことだって噂に怒ってたよ。積極的に広めていた奴は多分同じ部屋にいてた奴ら以外で、俺達はむしろ口を閉ざしていた。

 でも沈黙が逆に肯定と捉えられて、一部の奴に幼なじみはつきまとわれた。嫌がらせもあったのかもしれない。

「なんで違うって言ってくれないんだ」

 って責められたとき、俺、思わず最初の寝言と修学旅行の寝言の話したんだよ。そしたら何か俺がデマを流したと思われて喧嘩になったんだ。もちろん俺はそんなことしてないから腹が立ったよ。

 幼なじみと喧嘩して1週間くらい経った日の昼休み、そいつが教室でぶっ倒れたんだよ。最初は心労がたたったのかと思った。けどクラスの一人が先生を呼びに行こうとした子を止めたんだ。そいつの顔はニヤニヤしてた。

 幼なじみは寝てた。変ないびきをかいてて、教室内が変な空気になってた。誰も起こさなかった。俺も喧嘩した後だったからどうしようか悩んだんだ。その時、幼なじみの声がした。

「吉多、お前の家燃えるよ」

 いきなり呼ばれて全身鳥肌が立った。なんか考えるより先に体が動いてた。家に走って帰った。家は燃えてなかったけど、入ろうとしても鍵かかってて、必死で入ろうとしてたら段々台所の方から煙り出てきて、隣の家に助け求めて・・・・・・。

 原因はコンロの火の不始末で、もし俺が帰ってなかったら小火じゃ済まなかったみたい。

 教室の方は別の事件になってた。クラスメイトの何人かが幼なじみに睡眠薬を盛ってたとか。詳しくは未成年だし小学生だったからあんまり表に出なかったけど、しばらくしたら5人くらい席が空いた。加害者は転校したみたい。

 幼なじみは起きて事件を知ってショックで引きこもって、15歳の時に自殺しました。

 何度か会いに行ったり、手紙書いたりしたけど、結局ちゃんと謝れなかったなぁ。

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