№178
たまに握手が空振るんです。「よろしくお願いします」「はいお願いします」って同時に手を出すじゃないですか。すると相手の手の甲と自分の甲がぶつかる。お互い苦笑いしてやり直す。さらに、たまに相手が左手を出してくる。いや握手は右手でしょうとまた苦笑い。相手は「あれ?」って顔をしてやり直し。最初は笑い話だったんですが、僕以外の誰も失敗してないのに気づいて「あれ?僕がおかしいのか?」と不安になってきたんです。それで眼科を受診しました。でも異常なし。一応何件があたりましたが結果は同じでした。で、次は脳外科とかに相談したんですが、やっぱり異常なし。
いよいよ頭を抱えていたときに同窓会がありました。気晴らしになればと参加し、近況報告のついでに話したんです。握手の失敗から受信まで、全部。するとあんまり親しくなかった同級生が「だってお前、腕がついてるもん」と言い出したんです。どういうことか聞くと「学生の頃から、腕だけの幽霊がくっついてるんだよ。たまに自己主張してたから握手もその影響じゃない? なんか悪い幽霊じゃなさそうだったから言わなかったけど」と、衝撃の告白をされました。
明日は病院じゃなくて除霊に行ってきます・・・・・・。
――私には芳野さんを慰めるように頭を撫でる白い手が見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます