№69
私がパパ活をしていた時のことです。あ、パパ活って言うのは、パパくらいの歳のおじさんとデートして、おこずかい貰ったりとか、ご飯おごってもらったりとか。エッチはないですよ。パパですから。大学生の時そういうパパが2,3人いました。勉強してアルバイトしてへとへとになっていると、優しくしてくれるパパがすごく癒しになるんですよね。お金ももらえるし。私はそうやって副業感覚でパパ活をしていたんですが、パパの1人が会社で働かないかって言ってきました。どうも愛人として傍に置きたくなったみたいなんです。正直、やりたい職種じゃなかったし、愛人になりたいわけじゃなかったから断ったんですけど、すごくしつこくて……。だから連絡を絶ったんですけど、どうやったのか他のパパにも連絡しだしてパパ活出来なくしてきたんです。アルバイト先にも現れてクビになりました。正直、そこまでされたら怖くて逃げますよ。でもなんでかそんな当たり前のことも判らなくて、何故逃げるって迫ってくるんです。最後の良心なのか、大学には連絡がいってなかったんですが、時間の問題でした。
そんな時、別のパパから電話がありました。この人も社長らしいんだけど、全然偉そうじゃなくて、すごく親しみやすい人でした。変なパパから連絡があって、私を心配してくれたみたい。迷惑かけたのに。私は電話口で謝り倒しました。そのパパは「気にするな」って、その上「力になる」って言ってくれたんです。私は藁にも縋るほど追い詰められていたので、すぐに「お願いします!」と叫びました。パパは少し笑って「寿命、どれくらい捨てられる?」って。私は意味が分からず黙り込んだら、「私のツテで、そいつを呪えるから、どれくらい命掛けられる?」と言い換えました。突然そんなことを言われても、呪いの相場なんてわかりません。私は考えあぐねて適当に「5年」と答えました。パパはまた一度笑ってから「わかった」といい、電話は切れました。
それから1週間もしないうちに、私を愛人にしようとしていたパパは顧客の個人情報の漏えいで一躍有名人となりました。たぶん、今あなたが考えている、あの人ですよ。そのせいで私を忘れてしまったらしくて、一切連絡が来なくなりました。呪いのツテがあるって言ってたパパは、若くして隠居して海外に行ったらしくて連絡が取れなくなってしまいました。結局呪いって本当だったんでしょうか? たまたまだったんでしょうか? まあ、そう言うこともあって、パパ活はそれでおしまいになりました。
――話が終わると、私は謝礼金を抜田さんに渡した。
これって2つ話したら、2倍貰えるんですか? 彼氏と廃トンネルに行った時の話があるんですけど……。
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