第13話 酒の無い 国に行きたい 二日酔い
「おはようっ」
アンは朝から元気だった。
「おはようござい・・マス」
べるでは二日酔いで頭が痛い。
「・・・・」
八尾は動けない。さっきも水を飲んだ後、トイレに行って戻していた。
明け方からそんな感じだ。セルフ胃洗浄だ。
音につられてべるでも何回か行っていた。
「朝ごはんどうすんのよっ?」
アンに二日酔いと言う言葉は無いらしい。
ベッドに仰向けになって八尾は昨日の事を思い出そうとしていた。
断片的に記憶は有るのだが、断片的に夢とまざる。
何処までがやらかした事か、何処までが夢か判断付かない。
おまけに腹筋が痛い。
「じゃあたしは朝食食べてくるねっ」
と一言残してアンは一階の食堂に行った。
・・・
「よう、嬢ちゃん。卵の焼き方はどうする?」
「おはようございます。ええと、どんなのがあるの?」
「えーっとな、目玉焼き、ターンオーバー、スクランブル、厚焼き・・・焼き加減も何でもできるぞ」
「じゃぁスクルンブル、ミルク少な目で、それとベーコンとソーセージも付けてねっ」
「おぅっ、良い選択だっ」
男は片手で卵を二つ割り、ちゃっとかき混ぜて、バターを落とした鉄板に広げる。
横にベーコンとソーセージを置くと上から蓋をかぶせた。
数分でフワフワのスクランブルエッグが焼きあがる。
メインプレートにそれらが乗せられ、
「ほい、お待たせ」
それを持って、サラダやパンをトレーに積んでいく。
最後に牛乳をコップについで、空いている席に腰を下ろした。
パンにスクランブルエッグを乗せて一口。
「う~ん、焼き加減最高ねっ」
入口のおっちゃんに親指を立てる。
おっちゃんは、ニカっと笑って深々と頭を下げた。
ご来光がまぶしかった。
「ごちそうさまっ、美味しかったわっ。
上に二日酔いが二人居るんだけど、ミルク貰って行っていい?」
「喜んで貰えてこっちも焼き甲斐があるってもんだ。
おぅ、好きなだけ持っていっていいぞ」
「ありがとうっ」
そう言って、アンは冷たいミルクをコップに注いだ。
・・・
「具合はどうっ?」
ミルクを差し出しながら八尾に様子を訊く。
「吐き気は収まったけど、まだ何も要らない・・・」
弱々しく答える八尾。
「オネェサマ、ありがとうございマス。少しましになってきまシタ。」
べるでは起き上がってミルクを飲む。
何時もと違って若干歩き方がおかしい、まだクラクラするのか?
アンは残ったミルクを腰に手をあてて飲んだ。
午後からアンとべるでは買い物に出かけた。
べるではその頃には完全復活していた。
またアレコレと店を回りたいらしい。
八尾は考えるのをやめて、二日酔いと戦っていた。
アルコールは抜けた。
だが、アルコール以外の何かで頭がくらくらする。
やっと復活したのは日が暮れてからであった。
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