魔法少年☆クラリネットガール
多ダ夕タ/ただゆうた
第1話
「
…卒業文集。卒業を
僕は
「ジュンヤは何書くんだ?俺は中学での部活のこととか書こうかな。」
にっ、と笑いながら声をかけてきた
「まだサッカー続けるの?」
バツグンの
「もちろん!あ、でも勉強も
…サッカー選手じゃないんだ、と思った。あんなにサッカーが好きで、才能もあるのに。医者なんて、
「ミツキは?まだアレ目指してるの?」
ショウゴが次に声をかけたのは、後ろに座っている
「はぁ?いつの話してるの?私は女子だよ?アレは男がやる仕事でしょ。」
さっきから“アレ”呼ばわりされているのは、きっと
「じゃあ、作文は何について書くの?」
僕は
「…今考えてるの。ココノは何書くの?」
会話に巻き込まれたのは、原稿用紙とにらめっこしていた
「あ、うん。…中学のこと書こうかなって。」
「みんなと違うところに行くんだもんね。」
ミツキが
そう。ココノは
「自分で選んだ学校に行くんだよね。やっぱり楽しみなのかな?」
「…まぁ、そうだね…。」
僕の質問に対して、ココノが
ウオォォォォォ
よく聞いてみるとおたけびのように聞こえる何かが
「グラウンドの方からだ。なんだろう?」
目を細くして、窓の
見たことのない
「なんだよ、あの
隣にいるショウゴが、僕の心を
グラウンドには、何メートルもあるような怪物が立っていた。全身が真っ黒で、頭からはウサギみたいな長い耳が2本生えている。2本の足の下では桜の木がペシャンコになっていて、腕の方では
「何あれ…。
ココノが
教室は
「こっち来るなよ!」
机の中にあったリコーダーを
「リコーダーなんてスグに
という
僕は
どうやって
頭はほとんど回らないし、
「ポケットの中。」
ふいに、耳元でそう言われた。
よくわからないけどポケットに手を
ポケットから引っ張り出して、まじまじと見てみた。
大きさは3センチくらい。水色でハート型の
「何これ。
「あ、アニメに出てくる
日曜日にやってるやつだ。このキラキラした感じとか、女の子は好きそうだもん。
「そう。リコーダーの穴に
さっきの声がまた聞こえた。
言われるがまま、リコーダーの一番上の穴に刺してみる。カチリ、と音がして、
「ええっと…なにこれ?」
付けてみたはいいものの、どうしろと言うのだろう…。変身でもできるのかな。
「シの音。」
言われるがまま、親指と人さし指で穴を
「おい、ジュンヤ。何やって…」
僕の行動に気付いたショウゴを
「えっ…」
ココノがぽかん、と僕のリコーダーの先を見た。そこからは、
「シはシャボン玉のシ。キレイでしょう。」
耳元ではさっきの声が笑っていた。
「…ジュンヤ。何やってんの?」
落ち着きを
「シはシャボン玉…。レは…。」
…レーザービームとか、出るのかな。今ここでビームが出せたらカッコよくない?あの怪物も
シャボン玉に
「くらえー!レーザービーム!!」
決め
怪物をロックオンしたリコーダーの先からは、七色に光る一筋の光………なんてモノは無く、やや黄色っぽい色をした
「何これ…すっぱい。」
「カーテンに
え、
「レはレモンのレ…。
耳元からは、またボソっと声がした。どうやら、この液体はレモン汁らしい。すごくすっぱい。
「じゃあこの怪物はどうしたら消えるんだよ!」
ついイライラして、
何の
ふいに頭をよぎったのは、昔の
「僕はヒーローになりたかったんだ…。」
どうして今、思い出したんだろう。
ああ、今、同じ気持ちになったんだ。
僕はヒーローになりたい。
「…ラの音だよ。」
僕の気持ちに
「何これ。」
「おめでとう。ラはラッキーのラ。君の夢は
やがて
まず目に入ったのは、水色のブーツだった。よく見ると、
「…何これ。」
「ねぇ。この
「
「魔女?」
「魔女。」
僕は男だ。魔法使いなら良い。魔女は違うと思う。
「いやぁ、
「男女共…何?知らない。」
聞いたこともない。
「男女
「男の魔女は
「いやぁ。
区別は必要だよ…と言いたいところだけど、他にも聞きたいことがある。よって、この話は
「クラリネット…?」
「クラリネット。」
「リコーダーじゃん。」
「クラリネット。」
「リコ…」
「クラリネット。」
この
「早く決めゼリフを言ってよ。」
「ラブとピースな魔法使い☆クラリネットガール…?
後ろでクスクスと笑い声が
「僕はどうすればいい?」
「自分で考えられるでしょう。もうすぐ中学生なんだから。」
…え、あっさりと声の主に
「ここから飛び降りたら死ぬよなぁ…。」
教室は3階。下はアスファルト。生きていられる気がしない。
「えっと…さっきのレモン汁の
「やってみる。」
窓の
うまくバランスがとれないまま飛んで、なんとか怪物の肩のあたりに足を着けた。
「あー…何も考えてなかった。どう
シの音を吹きながら考える。とぅ、とぅ、とぅ、と短く鳴らすと、
「
教室では、ショウゴがこっちを見ていた。声は聞こえないけど、口が大きく動いている。
…たぶん、
「イチカバチカ…ってやつだけど。」
ぴいぃぃぃぃ。
力一杯にシの音を
「シは…シュートのシ!!」
いつも見てるショウゴのシュートフォームをイメージする。その姿に自分を
「
怪物はチリになって消えた。あれが一体何だったのか…わからないことばかりだ。
短くラの音を吹くと、変身も
「カッコよかったな!クラリネットガール!」
ショウゴが
「はぁ?あんなの
ミツキの言うことは、ごもっとも。僕だって、やりたくて変身したわけじゃないからね。もっと
「
何を?!ココノも、
『6年1組の広瀬 潤也くん。今すぐ校長室に来てください。』
アナウンスが流れた。
「職員室…?」
「校長室。」
ミツキが現実を
校長室、六年間も小学校に通っているけど入ったことがない。悪いことをした人が呼び出される場所だよなぁ…。何があるか知らないけど
「この
「
ミツキはガッシリと僕の右腕を
「え。」
「よし、任せろ。校長室は一階だったよな。」
ショウゴもミツキに習って、僕の左側を
「
ココノはまるで戦争に行く前のような言葉を言いながら手を
校長室って
二人に
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