僕らの49日間
ゆきち
序章
夢を見た。
夢の中では、一組の男女が手を繋ぎ歩いていた。二人が幸せそうに笑っている。
しかし、次の瞬間。横から音も無く猛スピードできた車によって女性が男性の視界から一瞬にして消えた。何が起こったのか、男性は理解するのが遅れる。顔から笑顔は無くなり、唖然とする。車のブレーキ音がけたたましく鳴り響いた。鼓膜が破れる程のそれであるにもかかわらず男性は耳を塞ぐことなく立っている。顔をゆっくりと女性の方へと向ける。いつの間にか車は消えており、その空間にはまた二人だけになっていた。赤い血が女性の身体から止まることなく流れる。そっと手を触れてみると、既に冷たくなっていた。
人は死ぬ時、最後まで残るのは聴覚だと聞いたのは何時、誰からであったか。
男性は静かに涙を流しながら、女性に言葉を捧げた。
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